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by ST25
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 小川糸 『ツバキ文具店(幻冬舎文庫、2018年)

 
 鎌倉で文具店兼代書屋を営む女性を主人公にした物語。

 代書屋とは、手紙を代わりに書く仕事。紙、筆記具、字体、内容を依頼主の人柄や気持ちを踏まえて決めていく。友人との絶交の手紙、借金の依頼への断りの手紙、死んだ先代への手紙などが書かれている。

 そして、歴史を感じさせる鎌倉の町での、ご近所さん達との関わりも話に温かみを与えている。


 話はそれなりにおもしろく、それなりに楽しめる。


 ただ、ほしおさなえ『活版印刷 三日月堂』(ポプラ文庫)と似ていることが気になった。活版印刷に対して代書、川越に対して鎌倉、そして、近所の人たちとの関わり。

 どちらも2016年に出版されているから、どっちが先なのかはよくわからない。



 いずれにしても、個人的には『活版印刷 三日月堂』の方がおもしろかった。



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 重松清 『ニワトリは一度だけ飛べる(朝日文庫、2019年)

 

 「リストラ部屋」送りになった会社員たちが中心になって、不正を隠し通そうとする会社と戦う。その手段はゲリラ戦。そして、“戦士たち”は「オズの魔法使い」の登場人物たちになぞらえられる。

 重松清だから、ミステリー的、あるいはドキュメンタリー的な要素は薄い。かわりに、人間の弱さ、人間の優しさなどが話の中心になる。

 話の深さや読み応えはそれほどではない。

 ただ、「オズの魔法使い」がそこまで教訓的な深い話だったとは。必ず読んでみようと思った。



 ほしおさなえ 『活版印刷三日月堂――星たちの栞(ポプラ文庫、2016年)

 

 シリーズ1作目。昔ながらの活版印刷を行う印刷所の女性店主を中心に、心温まる話が展開される。舞台は川越。

 シリーズ1作目だからか、活版印刷ならでは魅力もところどころ説明されている。その1文字1文字に心をこめる感じが登場人物たちの心の温かさと通じ合っていて、ハートウォーミングな穏やかな世界観が心地よい。

 そして、その世界観にバッチリ合っている川越の古風な街並み。

 あるいは、その世界観に深みを与えてくれるコースターやレターセットや俳句というそれだけで懐かしさを感じさせてくれる小道具の数々。

 日常で平穏な生活や心を乱す、他人への気遣いのできない人のいない実に平和な理想郷が描かれていて、その世界への憧憬やその世界へ行けないことへの悲しさがつのってくる。

 帯ではやたら涙を強調したりもしているけれど、少なくとも「号泣」というような涙ではなく、ほろりと来るような涙だ。



 ほしおさなえ 『菓子屋横丁月光荘――歌う家(ハルキ文庫、2018年)

 

 家の声が聞こえる大学院生が川越の古民家に住むことになる。彼の担当教授、川越在住の女子大学生、川越でコーヒー店を開く人など、川越を中心にさまざまな人たちの関わりを描いている。

 ミステリーでも劇的な話の展開があるわけでもないけれど、普通の会話を通して彼らの人柄の良さが伝わってきて、そして、平和な世界が創り出されている。読んでいてとてもあったかい気持ちにさせてくれる。

 大人の登場人物たちが、「佐久間さん」「藤村さん」のように「名字+さん」で呼ばれるのもその雰囲気づくりに一役買っている。

 そんな空気感を作り出せる舞台となった川越の街をのんびり散策してみたくなった。ところどころ実在のものも出てきているし。


 松岡圭祐 『グアムの探偵(角川文庫、2018年)

 

 本屋でふとタイトルを目にして、数年前に旅行で行ってすっかり気に入ったグアムのことを思い出すべく読んでみた。

 すべてグアムを舞台にしたミステリー。日系1世・2世・3世の3世代で探偵を営む男たちが主人公。
 
 5編の短編からなっている。グアムの事情を混ぜながら話が展開していくから知らなかったグアムのことも知ることができたし、行ったことのある場所も出てきてグアムの空気を思い出しながら読めた。ミステリーとしてもグングン引き込まれスラスラ読めておもしろかった。

 グアムというと最近、よくないニュースばかりな印象だ。北朝鮮のミサイルの標的にされているとか、日本人より中国人観光客の方が多くなったとか、航空便が減らされたとか。

 そんな状況を打開すべくグアム観光局がいろいろやっているのをたまに目にするけれど、これもその一環なのかと少し疑ったりもした。

 とはいえ、それはともかく、好きなグアムが日本人から「遠い」場所になるのは寂しいから、このような本が出るのは歓迎だ。


 
 
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