by ST25
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ほしおさなえ 『活版印刷三日月堂――星たちの栞』 (ポプラ文庫、2016年)
シリーズ1作目だからか、活版印刷ならでは魅力もところどころ説明されている。その1文字1文字に心をこめる感じが登場人物たちの心の温かさと通じ合っていて、ハートウォーミングな穏やかな世界観が心地よい。
そして、その世界観にバッチリ合っている川越の古風な街並み。
あるいは、その世界観に深みを与えてくれるコースターやレターセットや俳句というそれだけで懐かしさを感じさせてくれる小道具の数々。
日常で平穏な生活や心を乱す、他人への気遣いのできない人のいない実に平和な理想郷が描かれていて、その世界への憧憬やその世界へ行けないことへの悲しさがつのってくる。
帯ではやたら涙を強調したりもしているけれど、少なくとも「号泣」というような涙ではなく、ほろりと来るような涙だ。
PR
この記事にコメントする