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 竹中治堅 『コロナ危機の政治』 (中公新書、2020年)

 
 新型コロナウイルス感染者が中国で見つかった2019年末から、菅内閣が誕生した2020年9月までの新型コロナウイルスをめぐる日本政府、地方自治体の対応を、主に新聞報道や政府発表など客観的な資料をもとに丹念にたどった本。

 新型コロナをめぐっては実にいろいろなことがあったため、記憶がすり替えられたり、忘れ去られたりしていることも多いと思われる。それを修正したり、確認したりするのに役立つ。

 政治学者である筆者が導き出した結論は、①新型コロナをめぐっては、制度的に地方自治体の権限が強く、首相の権限は限定的だった、②新型コロナの対応では、保健所や検査体制や医療体制などキャパシティの限界が政策決定に大きな制限を課していた、という2点。

 どちらも目新しさはない。

 個人的には、安全重視で慎重な安倍首相と経済活動重視の菅官房長官の対照的な考えがおもしろかった。もしこのことがもっと世間に知れわたっていたら、国民は菅氏を支持しなかっただろう。そして、菅内閣の誕生もなかったかもしれない。

 また、医療業界・医療体制ばかりを考え、国民の健康は二の次にしている(ように見える)厚生労働省の対応は相変わらずだなという趣深さがあった。



 正直、本としては、物語性があるわけでもなく淡泊な記述が続くため、おもしろみはあまりない。

 とはいえ、この早い時期に政府の対応の詳細をまとめた本が登場したことの意義は、後々気づかれていくのではないかと思う。特に分析対象が短いからこそ、その分、分析が細かくなり、より正確な把握を可能としてくれる。

 国の一大事にどのように政治が行われたのかは歴史的に重要なことだ。東日本大震災のときは民主党政権だったこともあり、いまだに政府の対応に関して様々な言説が飛び交い、もはや何が事実だったのか誰もわからない状況になってしまっている。

 そういうことにならないために有意義な本。

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