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 山本昭宏 『戦後民主主義』 (中公新書、2021年)

 
 時代によってその意味が変遷している「戦後民主主義」。この言葉を軸に、戦後から現代までの政治の動き・社会の状況と、それに対する論壇の言説・文化界(映画、小説、歌など)の反応を追っている。

 政治の流れがメインに書かれるのではなく、あくまでメインは論壇の言説や文化界の反応。したがって、取り上げられている人物は、黒澤明、南原繁、筑紫哲也、吉野源三郎、阿久悠、丸山眞男、清水幾太郎、松下圭一、吉本隆明、大江健三郎、高坂正尭、庄司薫、高畠通敏、久米宏、西尾幹二、山田洋次、大塚英志など。名前を見るだけでワクワクする面々。

 この中には、正直、名前は聞いたことあるけれどその主張やその主張の文脈を知らない人もいる。そういう人がどういう文脈でどういう主張をしたのかが歴史の中に位置づけられていて、とても勉強になる。

 筆者は1984年生まれであるため、戦後の言説の多くは実体験として知っているわけではない。しかし、だからこそ、どちらかのイデオロギーに与することもなく、一歩下がった冷静な視点で書くことができている。

 また、戦後から冷戦終結くらいまでの描写は当時の対立の熱さを伝えてくれるものも多く、読み物としてもおもしろい。

 翻って、現在の言論界の対立は左右どちらにしても一方的にがなり立てているだけでのように思える。そして、ほとんどの国民はその極端な主張から一歩引いて見ているといった様相を呈している。

 これが平和の証なのか崩壊への序章なのか、果たしてどちらなのだろうか。


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