by ST25
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M. ルイス 『後悔の経済学ーー世界を変えた苦い友情』 (渡会圭子訳/文春文庫、2022年)
人間が不合理で愚かなことは誰もが実感を伴って知っている。しかし、そこに規則性を見出し、それを科学的な理論として構築しようとした人はいなかった。
エイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンは人間の不合理な行動を理論化し、行動経済学の基礎を築いた。この本ではその2人の共同研究あるいは人生のストーリーを追っている。
原題は、Michael Lewis "The Undoing Project" (2017)。
作者のマイケル・ルイスは『マネー・ボール』、『世紀の空売り』が日本でもとても有名。
さすがはマイケル・ルイス。2人の人生を興味深く追いながら、不合理な行動の心理学や行動経済学が発展していく過程も追われていて、二重におもしろい。
イスラエル出身の2人の人生は普通の学者人生とは異なっている。ナチスの迫害を逃れ、中東戦争を戦い、イスラエルで研究成果をあげ、そして、アメリカの大学へ渡る。
才気あふれる2人の共同研究の様子もスリリングだ。天才同士が作り上げる異様な世界へ入ることは他の誰も許されない。そんな異世界で理論が磨き上げられていく。
そんな2人に訪れる「離別」。ドラマチックだ。
カーネマンは聞いたことがあるけど、トヴェルスキーって誰?という疑問もこの本を読めば解消する。
そして、人生の物語をおもしろく読みながら、行動経済学の基礎も学ぶことができる。
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