by ST25
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小川 哲 『ゲームの王国(上・下)』 (ハヤカワ文庫、2019年)
ポル・ポトに率いられたクメール・ルージュがカンボジアを支配しつつあった1970年代。そして、時代が進み2020年代。
実際の歴史を取り入れながらオリジナルで壮大なSF小説が創造されている。
素晴らしい才能をもった若き小説家(1986年生)による渾身の傑作。
国を率いるリーダーの隠し子であるソリヤ(クメール語で太陽の意)、そして、その娘リアスメイ(クメール語で光の意)。対するは、貧村で生まれた天才ムイタックと、その兄テイウン。
その両者が協同の時代を経て、因縁を背負うようになる。
そこに、脳波を利用した新しいゲームが開発され…
カンボジアを舞台にした小説を書くという新しいチャレンジを成功させ、まだ発展途上だった時代の東南アジアの雰囲気が見事に伝わってくる。そこに、独裁者が支配する時代背景による荒々しさと緊張感が加味され、独特な世界観を味わえる小説になっている。
SF小説(『ユートロニカのこちら側』)でデビューした著者らしく、SF的な全く新しい〝ゲーム”がストーリーに未来感を出していて、小説に奥行きを出している。
著者の作品は全作品を追うこと確定。素晴らしい才能の登場に興奮を感じる。
#小川哲 #ゲームの王国 #SF小説 #クメール #カンボジア #リアスメイ #ムイタック
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