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by ST25
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 サイモン・シン 『暗号解読(上)(青木薫訳/新潮文庫、2007年)
 
 
 超おもしろい本『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)の著者が、古代ギリシャ以来の暗号(解読)の歴史をそこに伴っていた物語とともに活き活きと描き出している本の文庫版上巻。

 上巻では、初歩的な暗号の構造と、初期の素朴な暗号から一段ずつ複雑になっていき、第二次大戦頃の機械化されてその複雑さを一挙に増した暗号までの歴史が語られている。

 複雑で難しい暗号の仕組みを分かりやすく説明しながら、暗号にまつわる引き込まれるようなエピソードが入れられていて、相変わらず楽しい科学の読み物になっている。

 ただ、時代とともに複雑になっていく暗号の解読法の発見のされ方が、色々なところに存在している“パターンの抽出”ということで、毎回似通っているように思えて、もうお腹いっぱい、という感じがする。最新の暗号はちょっと気になるところだけど、まあ、「下巻はいいや」という気持ち。

 同じ著者なら、それよりは、古本屋で購入済みの『ビッグバン宇宙論(上・下)』(新潮社)を文庫化される前に読み終えておきたい(けど・・・)。

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 山形浩生 『新教養としてのパソコン入門(アスキー新書、2007年)
 
 
 パソコンを自分である程度使いこなせる人と、簡単な機能しか使えなくてトラブルでも発生しようものなら完全にお手上げな人および全くのパソコン素人との間には、“感覚”や“パソコンというもののイメージ”において、お互い異世界に住んでいるかと思うほど隔絶の感がある。

 この隔たりを埋めようと、コンピュータ(=パソコン)が分からない人に“分かってる人”的なコンピュータのメカニズムの理解を与えようと書かれたのがこの本。

 説明に際しては、スタンレー・キューブリックの映画『2001年:宇宙の旅』とかスタニスワフ・レムの小説「GOLEM 14」(『虚数』国書刊行会・1998年、所収)とかいった(著者お得意の)SFを思い起こさせる、「コンピュータに気持ちがある」という想定で説明がなされている。

 この現状認識とその試みの方向性自体は素晴らしいけど、いかんせん、それが成功しているようには思えない。

 全体的に、説明が浅かったり無理な例え話で済まされていたりで、おそらく、“パソコン音痴”の人がこの本を読んでも、あまり理解できなくて「よく分からない」ままだと思われる。

 それに、パソコンが分からない人というのは女性と年配の男性に多いと思われるから、下ネタや罵倒が満載(?)の“山形節”はこの手の本には適してないと思う。
 
 
 ある程度コンピュータのことを分かっている方に入る(と自負している)自分には、過去におけるメーカー間の競争とその名残りの話とか昔のユーザーの苦労話とかの歴史のところは少しは楽しめた。

 それから何より、プロトコルの重要性の話のところで持ち出されているアヘン戦争に関する逸話(p142)に爆笑した。 (※出てくるのは「著者注」でなんだけど、この部分は著者のHPに掲載されている元の連載の全文には載ってない。)

 これで満足。

 大江健三郎 『大江健三郎 作家自身を語る( 聞き手・構成:尾崎真理子/新潮社、2007年)
 
 
 大江健三郎が50年間の作家生活をインタビューで語っている自伝。

 普段の生活、他の作家(および作品)との交流、小説の創作過程など、好奇心を満たしてくれる話がいろいろ出てくる。

私は自分という人間には魅力がないと、知っていましたよ。国民学校といった小学校の一年になって、近所の子供たちと一緒にランドセルを背負って学校に行きますね。その際、友達を見て、本当にこいつは子供らしい愉快さや美しさを持ってるな、と私は思った。自分はもうすでに自意識的で、子供らしい自然な魅力がないと失望していました。
 (中略) しゃべり方や歩き方までそうです。実に自然なところのない子供だった。その思いが今に続いています。 (p159)

 というような、本人自身について本人自身でも自覚している、大江作品の主人公にも共通する、奇妙な滑稽さ(p158)が、話の随所からにじみ出ている。
 
 
 いろいろ興味深い話は出てくるけど、中でも、興味深いけどなかなか知る機会のない、各作品が生まれた経緯とか創作過程が明かされているところはおもしろい。

 特に、作品中にも引用されているダンテやブレイクなどの詩(およびその日本語訳)との関わり方の、深さと特異さ、そして、それらの詩の人生における位置付けの大きさには驚く。

 完成度の高い一級の詩にはそれだけの噛み応えもあるのだろうから、それとともに人生を歩むというのは、自分の“自然な”感情の流れと豊かに寄り添っていくことであり、実に楽しそうだ。

私はやはり詩人に対する信仰を持っているんですね。本当の詩人は、かれが生きている間に、生きていくこと自体に対する結論を、言語で表現する人だと思います。 (p201)

書き始めると、(中略) 挿話にふさわしいブレイクの詩がすぐさま浮かんでくる。今は記憶力が衰えましたが、あの頃は、ブレイクの詩を百行ほどならいつでもそらで引用できたと思います。 (p168)

 そんな、いわば“詩的人生”には、( 楽しそうなのに自分ができないこともあって)憧れる。
 
 
 大江健三郎の小説は、まだ読んでないのがけっこうあることだし、どっかに篭って何にも邪魔されないで、既読のものも含めて改めて最初の作品から全て読み通したいと思った。(無理だけど)

 というか、そもそも大江健三郎の小説は、(初期以外の作品も含めて、)そんな余裕のある精神状態で読む小説ではない気もするけど。
 
 
 それにしても、この自伝にしても、“遺作”『さようなら、私の本よ!』にしても、既発表小説の豪華版の発売にしても、最近の大江健三郎の、作家としての仕事を総括するような活動の首尾の良さには、焦燥感に駆られながらカタストロフィを待望していた(ように見受けられた)大江健三郎からは想像もできない安楽感を感じる。

 最期まで不器用にあがくより良いことなんだろうけど、正直、予想外ではある。( どんな人にも光が注ぎ得るという明るいニュースでもあるわけだけど。)

 思えば遠くへ来たもんだ。

 1週間更新が空いてしまったときのお決まり(?)、音楽ネタ。

 音楽カテゴリーにアイドルソング以外の歌を増やすことを目的として設けられた「普通の音楽」シリーズ。

 今回はその第2弾。
 
 
 1.GReeeeN 「愛唄 ( 作詞・作曲:GReeeeN )

 最近のチョベリヘビロテ。(※ 超・ベリー・ヘビー・ローテーション)

 いかにも多くの人に好かれそうな、せつなさと一生懸命さの合わさったベタな曲調の歌。

 ケツメイシ「」とかSunSet Swish「マイペース」とかの系列に連なる。

 ベタで安易だと分かりつつもやっぱり聴くことを欲さずにはいられない、頭に残る、頭に補充しておきたい、そんな1曲。同系列の曲の中でも優れてる。

 歌詞は、曲を構成するほんの一部として断片的に意識するだけ。だから、実は、何を歌っているのかよく知らない。( 恋愛の歌だということくらいは分かるけど。)

 歌詞全体の意味を知ってしまうと、せっかく気に入っているこの曲の印象を致命的に引き下げてしまいそうだから、理解しようとさえしないでおくに限る。

 と、何かよくないところばかり書いてしまったけど、いい曲。
 
 
 2.織田哲郎 「Christmas Song」 ( 作詞:鈴里風太、作曲:織田哲郎 )

 山下達郎「クリスマス・イブ」と並び評される、時代を超えて聴き継がれるクリスマスソングの定番。となってしかるべき名曲。

 織田哲郎の作曲家としての才能と織田哲郎の渋い声を考え合わせれば、名曲となるのも当然だった、と今さらながら思わずにはいられない。

 ブックオフなんかで相当安く売ってる1993年のアルバム『』に収録されている。
 
 
  3.中川翔子 「ストロベリmelody ( 作詞:Akiko Watanabe/Syoko Nakagawa、作曲:Shinnosuke(SOUL'd OUT) )

 しょこたんの歌の中で一番しょこたんのかわいらしい声を活かせていて、しょこたんの歌の中で一番好き。

 オリコンで3位になった「空色デイズ」もカワかっこよくて好きだし、カヴァーした「残酷な天使のテーゼ」、「ロマンチックあげるよ」もオリジナルとは違う味が独特な曲を作り上げてて好きだし、総じて、しょこたんの歌は好き。

 何がいいって、声がいい。

 歌とは全く関係ないけど、しょこたんって、いろんな才能持ってるけど、「アイドルとしても天才だなぁ」って、先週末のしょこたん☆ぶろぐを見ながら強く思った。
 
 
 4.Mr.Children 「Round About~孤独の肖像~」 ( 作詞・作曲:桜井和寿 )

 ご多分に漏れず、ミスチル、好き。

 「ミスチルの中でどの曲が一番好きか?」というのはかなりの難問。

 でも、迷うことなくベスト3の内の1つに入るのが、マイナーなこの曲。

 1994年のアルバム『Atomic Heart』に収録されている。

 ミスチルらしい暗くてドロドロした魂の叫び的な要素が切り落とされた、かっこいい曲。「Tomorrow never knows」が似た異質さを持ってるけどきれいな曲に仕上がってるのに対して、この「Round About」はそのかっこいいヴァージョン、と位置付けられると思う。
 
 
 5.レキシ 『レキシ( EMI、2007年6月6日発売 )

 企画モノ的なユニットによる歴史(日本史)をテーマにした12曲からなるアルバム。

 特に「参勤交代」が好き。

 実際の参勤交代のイメージとは程遠い曲・歌声が、なんとも微笑ましい。

 ただ、歌い手の声の表現の幅が狭くてどの曲も似てるように聴こえるのが難点。
  
  
 6.80★PAN! 『8 Carat Princess( Victor Entertainment、2007年6月6日発売 )

 ハレンチ☆パンチから改名して初、ハレンチ☆パンチ時代から数えて2枚目のアルバム。

 1枚目のアルバムが良かったのはシングル曲を全て収録した(いわば)ベストアルバムだったから当然としても、シングル曲のない今回の2枚目も相当良いというのは尋常ではない。( 8曲全てがゲームなどのタイアップ付きではあるのだけど。)

 中でも、「CARRY A NEW WORLD」、「謎」、「期待値シャイニング」が特に素晴らしい。8曲中3曲が素晴らしいと言えるのが素晴らしい。

 ただ、曲が良いにもかかわらずの(からこその?)、販売戦略の迷走ぶりは何とかならないものか・・・。
 
 
 7.天然少女EX 「Happie Day!」 ( 作詞・作曲:K@TANA、唄:一場千秋、海津知香、松坂紗良 )

 天然少女EXは、深夜のテレビドラマで共演したアイドルたちを集めたユニット。メンバーは、酒井彩名、野村恵里、山川恵里佳、安めぐみ、新井裕子、神谷涼、尾羽智加子、松坂紗良など、その後、出世したり行方知らずだったりで感慨深さを催す。この曲が収録されているミニアルバム『天然少女EX』は1999年11月10日に発売されている。

 というわけで、80★PAN!もしょこたんもアイドルだけど一応歌に力を入れてるから「普通の音楽」に入れても許されるかもしれないけど、これはもう完全に、いかにも「アイドルが片手間でCD出してみました」というタイプのアイドルソング。

 でも、いい曲。

 だから、取り上げる。

 なんせ、「♪What a Happie~ ♪What a Happie Day!」とか歌ってるくせに元気・感情・抑揚のない宗教的な歌声なのが、シュールで心地良くてナイス。

 発売当時でさえかなりマイナーな歌だった(と思う)けど、8年経った今でもこの曲を聴いて癒されてる人がいることを感謝の念とともにここに記しておきます――。
 
 
 
 今回はここまで。

 とはいえ、だいぶネタが尽きてきた。

 つづくか、つづかないか、それが仙台だ。

 神田時来組プロデュース 『 そして龍馬は殺された 』 ( 作・演出:泉堅太郎/出演:泉堅太郎、前田耕陽、IZAM、山田まりや、ほか/2007年6月14日~18日/@新宿シアターサンモール )
 
 
 改めて、龍馬はかっこいいと思った。

 坂本龍馬没後140周年記念として行われた公演。

 龍馬が殺されるまでを笑いを交えながら描いている。

 出てくるのは、龍馬の他に、中岡慎太郎、佐々木只三郎(見廻組)、桂小五郎、西郷隆盛、新撰組、お龍(龍馬の妻)など。

 何より、龍馬が自由奔放に見えながらも筋の通った魅力的な人物に描けていて、話はおもしろかった。 ( もちろん、それは、実際の龍馬のキャラクターや人生がおもしろいことに大いに依っているわけだけど。)

 ただ、それ以外の演出とか創作とかは笑えるところがちょくちょくある程度で、特に意匠を凝らしたところはなく、無難な作り。
 
 
 主役である龍馬(泉堅太郎)の演技が悪くなかったから、周辺的な問題とも言えるけど、それでもストーリー上、大きく扱われる登場人物で演技がきつい人が多かった。

 佐々木只三郎役の前田耕陽は、民衆が「♪ええじゃないか ♪ええじゃないか」とバカ騒ぎをしている中、一人精神的に病んで何かに取り憑かれたかのように龍馬を殺しに行くという最大の見せ場のシーンでの演技が、軽かった。

 桂小五郎役のIZAMは、もう全てが時代劇というより近未来劇っぽかった。( あえて言うまでもないかもしれないけど。)

 西郷隆盛役の誰かは、典型的なイメージ通りの西郷ドンをかなり無理して演じようとしているのが見え見えで、宴会で西郷ドンのものまねをやってる人みたいだった。
 
 
 それから、これは時代劇をやる人たちなら何とかすべきだったと思うけど、時代劇の最大の見せ場の1つである殺陣のシーンが、舞台が狭いがためにあまり迫力を感じさせなかった。そればかりか、逆に、たくさんの人が暴れ回るから舞台の狭苦しさを感じさせるシーンになってしまっていた。

 あと、今回、今まで舞台を観てきた中でも初めて感じたのだけど、音楽が芝居とずれていてミスマッチだった。真剣なシーンも軽くノリのいい音楽っていうのはさすがに・・・。
 
 
 まあ、これだけ肝心なところでの減点があれば、普通はただの駄作と片付けてしまうところだけど、時代劇は完全なエンターテイメントだし、そのメイン中のメインがしっかりおもしろくできていたから、一刀両断せずにいてもいいと思う。

 とにかく第一の感想は、龍馬、かっこいいなぁ、だったから。
 
 
 どうでもいいことだけど、自分は、『すみれ September Love』がいつ流れるか待ってたんだけど、最後まで流れることはなかった。( そういう期待を抱かせるほどIZAMがIZAMのままだったからこそ、だけど。)

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