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 藤原敬之 『日本人はなぜ株で損するのか?(文春新書、2011年)


 5000億円ものファンドマネージャーが自らの投資哲学や情報処理法などを語っている本。

 実際に実践している新聞記事の整理法や株価を分析する視点など、具体的な方法がいろいろと紹介されている。ただ、大学で行われた講義が元ということもあって、それぞれが大まかな紹介に留まっているきらいはある。

 また、学問や教養の重要性やおもしろさを随所で説いていて、筆者が感銘を受けたり影響を受けた様々な学者が所々で登場する。シュンペーター、アダム・スミス、ハイエク、岩井克人、小林秀雄、網野善彦、丸山眞男など。


 自分は投資をやらない人間だけど、そんな部外者からするとどうしても株式運用もギャンブル的な要素が大きく、ファンドの運用も運という要素が大きいように思えてしまう。しかし、成功したファンド・マネージャーもそれなりに個人の哲学があり、それに基づいていることは垣間見れた。

 とはいえ、筆者が開陳している様々な手法や視点がそこまで普遍的で有用なものだと確定できるほど説得的ではなかった。


 「敏腕トレーダー」とかカッコよさ気で憧れるけど、果たしてどこまで当人の実力によるものなのだろうか。



 

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 ディアドラ N.マクロスキー 『[増補] ノーベル賞経済学者の大罪(赤羽隆夫訳/ちくま学芸文庫、2009年)


 経済学者の3つの大罪、すなわち、統計的有意性の誤用、理論構築における数学の誤用、経済学の実践における失敗、を指摘している本。

 統計的有意性の誤用なんかは、そんなことをしている人たちがいるとはと驚いた。 数学的な理論の現実とのかい離はよく言われることではある。

 だから、当人たちはその誤用とか限界を無自覚で行っているらしいと知って驚いた。

 ただ、本としては当たり前のことをふつうに書いているだけな気がして、それほどおもしろくはなかった。 誤用の例をもっとおもしろく書いてくれれば楽しめるのにと思った。

 

 朝野光陽 『「モー娘。」の経済学』  (オーエス出版社、2002年)

 ひどい本。

 経済学なんて1ミリも出てこない。新聞記事レベル(かそれ以下)の経済の話がときたま出てくる程度。

 で、その程度の話をモー娘。についての話の最初か最後にかなり強引に結び付け(ようとし)てるだけ。

 モー娘。の話も、何の根拠もない著者の勝手で強引な推測・妄想・雑感を論理破綻とか矛盾をもろともせず偉そうに語ってるだけ。( そこらの大学生でも何倍もマシな文章書くってレベル。)

 モー娘。に勢いがあろうがなかろうが全く関係なくひどい本。(著者も出版社も)よくこんな本が出せたものだと、本当に感心してしまう。

 良いところを挙げれば、保田圭を「ルックス的不良債権」と言いきったところだけ。
 
 
 最後に、著者の知的レベルを端的に表す文を2つだけ引用しておこう。(ちなみに、太字は実際に太字にされてるもの・・・。)

世の不良債権対策のみならず、さまざまな構造改革を行う上で大切なことは、その対象となる事象や組織、それに関わる人間の性質、性格を正しく見極めることである。 (p72)

重要なのは、その土地に見合った戦略を考え、場合によっては、地道にじっくり時間をかけて開発をするということである。 (pp89-90)

 ナシーム・ニコラス・タレブ 『まぐれ――投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか(望月衛訳/ダイヤモンド社、2008年)
 
 
  自信満々で、自分の知性を信じきっているやつらはいじめてやろう をモットーとする大学教授兼トレーダーである著者が、生存バイアスや非線形性など様々な偶然のあり様について、副題のとおり、主に投資家の思考や行動に関する逸話を中心に書いた読み物。

 改めて、というより、思っていた以上に、偶然が支配している現象が多いことに驚いた。

 けど、その一方で、何でもかんでも「科学的/統計的に確かではないから偶然」としてしまうのも極端すぎて愚かしいように思える。(著者がそのバランスをどの辺りで図ろうとしているのかは分からない。)

 もし、統計的に厳密な基準のみを採用したら、社会科学が対象とする事象のほとんどは「偶然」で片付けられてしまって、(程度は様々ながら)何度も起こらないけど重要な事象(例えば、大恐慌とか革命とか)を対象とする社会科学なんてものがそもそも成り立たなくなってしまう。

 とはいえ、運を実力と勘違いしたり、偶然を必然と勘違いしたりする輩が多いこと(特に株と経営系と歴史系)を考えれば、まぐれの重要性を説くこの本は、アメリカのいろいろな有名人が絶賛しているとおり、有意義だと思う。

 ただ、個人的には読み物としてそれほどおもしろいとは思わなかった。

 春山昇華 『サブプライム問題とは何か――アメリカ帝国の終焉(宝島社新書、2007年)
 
 
 サブプラムローン問題の説明として評判の良い本。

 サブプライムローン問題の仕組みを多面的に説き明かしていて分かりやすかった。

 これまで、アメリカの景気の一時的なマイナス要因だと思ってこの問題のニュースをほとんど気に留めてなかったけど、それでも問題の大枠は分かったように思う。

 不満な点は、日本の金融機関等も含めてサブプライム関連債券を買っていた投資家側の実態が分からない点、時事問題を解説する本の“お決まり”として付けられてる最終章の「今後の予測」の分析がナイーブな点。
 
 
 それで、サブプライム問題の主な要因は、アメリカ人の消費・借金文化、住宅バブル、バブル時に特有の楽観的見通しに基づく住宅を担保にした金貸し、金貸しと回収を分離してしまう債権の証券化、無責任にとどまらず証券会社と癒着してたかもしれないトリプルAを乱発した格付け会社、そして、世界的な金余りを背景にその債券を買っていた投資家。

 もちろん、この他にも、相当緩い住宅優遇税制、悪徳サラ金のような非合法的金貸しの横行、銀行の自己資本規制遵守のための資産のオフバランス欲求、金融当局の対策の遅れなどの要因もある。
 
 
 思ったこと。

 バブル怖し。情報弱者(一般市民)は投資なんかしない方が良い。(証券優遇税制廃止すべき。地道に働け。)

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