by ST25
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ナシーム・ニコラス・タレブ 『まぐれ――投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』 (望月衛訳/ダイヤモンド社、2008年)
「 自信満々で、自分の知性を信じきっているやつらはいじめてやろう 」をモットーとする大学教授兼トレーダーである著者が、生存バイアスや非線形性など様々な偶然のあり様について、副題のとおり、主に投資家の思考や行動に関する逸話を中心に書いた読み物。
改めて、というより、思っていた以上に、偶然が支配している現象が多いことに驚いた。
けど、その一方で、何でもかんでも「科学的/統計的に確かではないから偶然」としてしまうのも極端すぎて愚かしいように思える。(著者がそのバランスをどの辺りで図ろうとしているのかは分からない。)
もし、統計的に厳密な基準のみを採用したら、社会科学が対象とする事象のほとんどは「偶然」で片付けられてしまって、(程度は様々ながら)何度も起こらないけど重要な事象(例えば、大恐慌とか革命とか)を対象とする社会科学なんてものがそもそも成り立たなくなってしまう。
とはいえ、運を実力と勘違いしたり、偶然を必然と勘違いしたりする輩が多いこと(特に株と経営系と歴史系)を考えれば、まぐれの重要性を説くこの本は、アメリカのいろいろな有名人が絶賛しているとおり、有意義だと思う。
ただ、個人的には読み物としてそれほどおもしろいとは思わなかった。
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