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 高橋昌一郎 『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性(講談社現代新書、2008年)

 理性の限界に至っていることが理性的に分かっている話を様々な学問分野から持ってきて対話形式で説明している本。

 具体的には、
「選択の限界」としてコンドルセの投票のパラドクスやアローの不可能性定理や囚人のジレンマを、「科学の限界」としてハイゼンベルクの不確定性原理やEPRパラドクス(量子論)を、「知識の限界」としてゲーデルの不完全性定理や神の非存在論などを、取り上げている。

 この手の「理性・論理の限界」の話を1冊で読めてしまうのはありがたい。

 これも、社会科学から自然科学、数学まで、「理性・論理の限界」として括れる話を全て語れる著者のおかげ。ちなみに、そんな著者は哲学者・論理学者。

 対話形式も、“先生と生徒”みたいな単純なありがちな形ではなくて、色々な分野の学者、会社員、学生、運動選手といった多彩な顔ぶれが一堂に会していておもしろい。中でも、カント主義者がいい味出してる。

 とはいえ、様々な工夫や努力にもかかわらず、全くの初心者がどこまで理解できるかはちょっと怪しい気もする。

 というか、自分は、二重スリットをすり抜ける量子論のイメージが分からずじまいだった。文字でいくら説明されても難しいんじゃないかと思う。それから、不完全性定理もついていけないところがいくつかあった。

 でも、どれも直感に反する知的興奮を味わえるおもしろい話であって、完全には理解できなくてもその端緒は感じることができる。そして、さらに色々読み進めてみたいという気になる。

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 クーリエ・ジャポン 2008年7月号・vol.45(講談社、2008年)
 
 
  フランスの週刊誌『クーリエ・アンテルナショナル』と提携し、世界の1500を超えるメディアの中から記事を選び、翻訳・編集 (p11)している雑誌。

 先月に続いて2度目の購入。

 今月もおもしろい。

 有意義で興味深いけど、テレビとか新聞とかでは取り上げられない、別の視点から世界を読み解くことができる。 (よくできた「副読本」みたいな感じ。)


 メインの特集は中国。地方から都市への出稼ぎとか、豊かになる前の方が不便でも“幸せ”だったとか、受験戦争とか、地震の後(主に学生)ボランティアが活躍したとか、どれもデジャブ。おもしろい。

 他の小特集には、ロンドンのセレブたちの生態、ヴィトンのデザインをしたりしてる村上隆の芸術論とか。

 先月つまらなかった「世界が見たNIPPON」は、今月はそこそこおもしろかった。都会のカラス戦争とか、中国で『大奥』がそこそこ人気とか、クウェート人記者の東京探訪記とか。

 その他、個別の記事では、慈善団体がいっぱい来て潤ってる紛争地域ダルフール(@スーダン)の話とか、英語ができなくて自殺する人までいるインドの話とか、『収容所群島』のソルジェニーツィンがまだ健在って話なんかがおもしろかった。


 思ったこと。

 一。この雑誌、何気に(?)訳がいいというのが重要なポイントだと思う。例えば、クウェート人記者の東京探訪記なんか、かなりいい味を出してる。

 二。事実ってのは実に雄弁に色々語るなぁってこと。

※ 日々感じたこと考えたことを本記事とは別に、この記事の一番上に足していく形で不定期に書き連ねていきます。

☆★☆★☆★☆★☆

6月29日
・ アイドルの歌を聴いた感想をメモ。そんなに良くなかったからこちらで済ませる。
 岡本玲の1stシングル「teenage days」と2ndシングル「Railroad Star」の2曲。 「teenage days」の方は聴き心地の良い曲で嫌いではないけど、そんな聴き心地の良い中で、いきなり、あの、例の、安っぽい、恥ずかしい、嫌味ったらしい、英語ぶった日本人的な発音で、「yesterday」と歌うところが出てきて、げんなり。「Railroad Star」の方は、特徴のないつまらない曲。しかも、メインの「railroad star」が前述のムカツク発音で歌ってて、さいあく。

6月25日
・ 遅ればせながら今月の自由帳を設置。で、言いたことは、とりあえず、前のブログからの移転作業が終わったということ。 まだ、「★記事タイトル一覧」の各記事のリンク(をはじめ、その他の細かいところ)は直してない。これは、気が向いたときに少しずつ直していく。昔の記事は、異常に硬かったり無知だったりするのもあるけど、過去は辛くてもしっかり受け入れなくては、ということでそのまま全て移転した。


 神田時来組プロデュース公演 『 志士たち 』 ( 作・演出:泉堅太郎/出演:泉堅太郎、保田圭ほか/2008年6月11日~15日/@シアターサンモール


 高杉晋作を中心に、そのあたりの時代に活躍した人たち(吉田松陰、桂小五郎、新撰組、勝海舟など)を包括的に描いた歴史芝居。

 一応、主役は高杉晋作ではあるけれど、あくまで「一応」にすぎず、タイトルの通り、当時活躍した色々な人たちが出てくる。

 そのためか、全体的に内容が薄くなってしまっている印象を持った。

 まさに、(この劇団の)前作の坂本龍馬の芝居の凝集性とは対照的に。

 観てから1週間以上経つとはいえ、すでに、これと言って特に印象に残ってることが見あたらないのが象徴的・・・。

 尊皇攘夷とか倒幕とかの話だったんだけど・・・。


 そんなわけで、(かっこいいはずの志士たちの)人物描写も、笑いも、ストーリーも、何もかも中途半端だった。
 
 M.J.アドラー、C.V.ドーレン 『本を読む本(外山滋比古、槇未知子訳/講談社学術文庫、1997年)

 経済評論家の勝間某とかいう人が紹介・推薦したとかで(?)、最近、増刷され平積みで売られてたりする、本の読み方を教えている本。

 初級読書、点検読書、分析読書、同一主題について複数の本を読む場合の読書という、幼児のときの読書も含めた包括的な4つの段階を設定し、それぞれ説明している。(学術書とか啓蒙書の読書を主に想定している。)

 アマゾンのレビューを見ても高い評価を得ている。

 けど、得ることはなかった。

 言ってることは当たり前のことだけど忘れがちだから気を付けなければ、とかも思わなかった。

 だって、ここに書かれている以外の読書法なんて、ありえないでしょ?

 目次を見るとか、何についての本かを知るとか、批評するには著者の論拠を知るとか、何らかの目的を持って読むときは精読ではなくてその目的に資するところだけに注意を払うとか。


 まあ、内容自体は間違ってないから、別にこの本を賞賛する人が多くても害はないのだけど、そういう人たちはいったい普段どんな読書をしてるんだか、ということは気になる。
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