by ST25
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石破茂 『日本人のための「集団的自衛権」入門』 (新潮新書、2014年)
前半が総論で、個別的自衛権と集団的自衛権との違いや、国際法上の自衛権の考え方や、政府解釈の歴史などについて説明している。 後半では対話編として、「アメリカの巻き添えになるだけでは?」とか「個別的自衛権で何とかなるのでは?」などよく出される素朴な批判や疑問に答えている。
ちなみに、この本はあくまで集団的自衛権とは何かを初学者にもわかりやすくなるようにまとめている本である。そのため、著者の主張や疑問への応答は、わかりやすい例を持ち出すに留めていたりでそれほど説得的なものにはなっていない。
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柳葉あきら 『アップセットボーイズ(上)』 (ちくま文庫、2014年)
「ちくま文庫で漫画!?」と驚くけど、将棋ネタなら、確かに漫画コーナーに置かれるより書籍コーナーに置かれる方が将棋に興味がある層の目に触れる可能性は高い。自分が実際にそうだし。漫画コーナーは普段チェックしてなくて、新刊文庫コーナーでこの本を見つけて存在を知った。
もともと「週刊将棋」で1997年から連載されていたもの。それが「なぜ今文庫化されたのか?」はわからない。
さて、肝心の内容。ところどころで詰め将棋的な盤面が出てきたり、多彩な登場人物がいたり、性格に合わせて筋違い角をやりだしたり、おもしろいところが色々ある。
その一方で、青春ドラマという面と将棋の面白さという面のどちらも中途半端な印象。逆に言えば、どちらの面もそれなりに取り込めているということでもあるけれど。個人的には、深いレベルでの楽しさがあるものが好きなだけに、全体としてはそんな感想。
鎌田浩毅、吉田明宏 『一生モノの英語勉強法』 (祥伝社新書、2013年)
文法のルールから英文を理解していくという受験英語的なやり方で英語を身に着けた人に適した英語の勉強法を紹介している。 こういう文法のルールから英語を理解するという論理的な点が副題の「理系的」の言葉の所以。
筆者の実体験を踏まえて書かれていて、無理なく継続的に実践できる工夫や配慮が随所に散りばめられている。
舌の形状記憶とか十八番の例文集とか音読筆者とか、いろいろなやり方が紹介されているから必要なものやできそうなものを参考にすることもできる。
会話の重要性自体は叫ばれつつも実践的な英会話の機会を多く持つことなく、受験英語を地道に学んで読解力だけは高いタイプの人にとっては、共感できることも多く、使えそうなものも多く感じた。
山田悠介 『貴族と奴隷』 (文芸社、2013年)
そんな設定から、人間の醜い本質が出てくるのか、高度な政治的駆け引きが見られるのか、盲目の人物がいることがどう展開に影響するのか、奴隷に栽培や収穫の労働をさせることができるのがどういう意味を持っているのか、等々、色々楽しみを持てる設定。
がしかし、大して話が深まらないまま、本は全体の半分、7割と進んで行ってしまう。
そして、どこ一つとして話が深まることのないまま終わりを迎える。
片手間で書きなぐっただけの小説。
瀧本哲史 『僕は君たちに武器を配りたい(エッセンシャル版)』 (講談社文庫、2013年)
代替可能なものになる「コモディティ化」や、生き残れる4タイプといった独自の視点や指針も提示されている。
読むと、なるほどと納得する点もあるし、へぇと驚く点もあるし、本当かなと疑問を持つ点もある。
ただ、人にはそれぞれ具体的な状況がありそれに対処していく必要があるのだけど、この本で書かれていることは漠然とした抽象的なことが多くて、タイトルから想像される実践的な「武器」がすぐに手に入るというイメージからは遠いと思った。