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by ST25
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 2004年ももう終わりだ。先日の読売新聞には毎年恒例の『読書委員が選ぶ「私の三冊」』が載っていた。このブログを始めたときからこれは絶対にやろうと密かに楽しみにしていた。そんなわけで、私の今年のベスト3を挙げてみようと思う。

 読売と同様、対象は今年読んだ本ではなく、今年出版されて読んだ本とした。今年読んだ本全てから選んだ方がよりおもしろい本になるだろうけれど選ぶのが大変だからだ。

①G.キング、R.O.コヘイン、S.ヴァーバ『社会科学のリサーチ・デザイン』(真渕勝監訳、剄草書房)
②小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書)
③B.ウッドワード『攻撃計画』(伏見威蕃訳、日本経済新聞社)

 ①は定性的研究も定量的研究と同じように研究できるとし、その手続きや留意点を詳細に述べた社会科学の研究方法における超基礎文献“KKV”の邦訳。
 ②は脳死・臓器移植について、その実体と実態を詳らかにした衝撃の書。この本を読んでから脳死・臓器移植に対して反対の立場に変わった。それまでのん気に賛成して殺人を容認していたことに対して罪悪感が沸いてくる。
 ③はイラク攻撃に至るアメリカ首脳たちの意思決定の過程を描いた渾身のドキュメント。読み物としてもおもしろいし、現在のアメリカ政治を知る社会派の書としても重要。(この本は以前感想を書いた→『攻撃計画』)

 ①と②は揺るぎないところだが、③は迷った。他の候補としては、稲葉振一郎『経済学という教養』(東洋経済新報社)や、森嶋通夫『なぜ日本は行き詰ったか』(村田安雄、森嶋遥子訳、岩波書店)あたり。

 今年は、忙しくて本をあまり読めなかった時期があった。そのため、全体としてはあまり量は多くはない。ただ、今年の読書の特徴は自分の興味・関心における横への拡がりが大きかったこと。一つの分野に集中したことの波及効果か、それとも反動か。

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 「代表なくして課税なし」といえば、アメリカ独立戦争時の本国イギリスに対する植民地アメリカ側の印紙法反対のスローガンである。民主主義の歴史や理念が凝縮された、かっこいい言葉だ。

 さて、ところ変わって2004年の日本で、18歳・19歳の若者がこれを唱えたらどうだろうか? この年齢の場合、学生の人もいるが、大きな額を課税されているサラリーマン・OLも多い。しかしながら、選挙権が与えられていない。

 少子高齢化、環境破壊、巨額の財政赤字と“世代”が重要な対立軸となる問題が噴出している時代なだけに、彼らに選挙権があるのとないのとでは選択される政策に大きな違いがあり得る。また、少年法改正に見られるように年少者を大人扱いする風潮も高まっている。

 それにもかかわらず、18歳・19歳の彼らの選挙権が未だに与えられていない。その原因は、「彼らの選ぶ代表が議会にいないから」という説明も可能だ。これは言い換えれば、政治家や有権者が彼らを考慮するインセンティブを持っていないということだ。

 思えば、確かに選挙権を持つ年齢に達した者は未成年者への選挙権付与なんか忘れてしまって考えない。「民主主義=選挙」というほどに選挙を神聖視する日本においてこの現状は滑稽だ。選挙を重視するなら、選挙結果だけでなく、「国民の意思の議席への反映メカニズムがどのようになっているのか」といった制度的観点にももっと注意を払うべきだ。そうすると、「代表なくして課税なし」の変形パターンである民主主義の歪みがいくつも見つけられそうだ。

 そして、もちろん、18歳・19歳の若者自身が選挙権拡大を求めて立ち上がるのが一番望ましい。そうすれば、選挙権が与えられない理由である「政治を判断する能力がない」という疑念も行動を通して払拭できるから。


(※働いている人の割合が1%に満たないであろう高校生世代とは違う。当然、学生という身分と選挙権は関係ないが、ここではスローガン中の「課税」という言葉に合わせて労働に焦点を当てた。また、ここの議論は、被選挙権が25歳以上にしか与えられていないことから派生する問題にも当然、援用可能だ。しかし、選挙権も被選挙権もどちらも持っていない18歳・19歳の場合、問題は重大。)

 いつも本の感想ばかり書いているので、たまには、本屋の感想を書いてみます。というのも、今日、用事ついでに14日に東京駅近くにオープンした「丸の内OAZO(オアゾ)」に行ってみたからです。ただ、オアゾに行ったとは言っても中に入っている大型書店・丸善に行っただけですが。

 店内には、ロケーション上、ビジネスマンやOLが多く、それを意識して1~4階のフロアがあるなかで1階に法律・政治・経済・経営・資格のコーナーがあります。しかし、さすがに1階よりも人文や文庫のある階の方がレジは断然混んでいました。しかし、店に入ってすぐ資格本が並んでいる光景は新鮮で圧巻です。
 書籍の在庫数では池袋のジュンク堂や八重洲ブックセンターより少し劣りますが、社会科学系や哲学・思想系はまずまずの品揃えです。これからは、本を探すなら、池袋→東京駅→新宿という順番。
 オープン当初、特徴としてアピールしていたブックアドバイザーや、リアルタイムの在庫状況がわかる検索端末は利用しませんでしたが、いつか絶対に使ってみたいです。ブックアドバイザーというのは新しい職種であり、知識産業に関わる人にとっての就職先の拡大として、今後の発展に密かに期待。
 この店の難点としては、文庫・新書のコーナーの通路が狭いことと、新刊用の平積みの棚が小さいこと。でも、全体としては、駅から近いし、品揃えも悪くないし、照明も明るいし、書店らしい落ち着いた知的な雰囲気もあり、気に入りました。

 それから、洋書コーナーで新発見!『Bush at War』(邦訳『ブッシュの戦争』)や『マイ・ライフ』(クリントンの自叙伝)のCDが売っていました。朗読は『マイ・ライフ』の方はなんとクリントン自身のようでした。アメリカではこういう販売方法も一般的なのでしょうか???なんか無性にアメリカの本屋に行ってみたくなりました。

 さて、本来の目的であるべき買い物ですが、日本一洋書に強い丸善ということで、ほしい本が何も見つからなければアメリカのF1雑誌か政治・社会系雑誌でも買おうと思っていたのですが、経済学系と社会学系の本(もちろん日本語)でおもしろそうなのを見つけたので、結局こちら(2冊で計7000円)を購入。

 イメージとしては、読書の秋らしい一日でした。

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