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 KUNIO07 『文化祭』 ( 演出:杉原邦生/2010年9月3日~6日/@こまばアゴラ劇場 )


 大人数の演劇。

 高校生活にありがちな、喜怒哀楽混ざった色々な場面を戯画化したものを細切れで演じていく芝居。

 おもしろいものとか、ちょっぴり辛い悲しいものとか、色々ありつつも、どれも懐かしさを催しつつも楽しくて、全体としても楽しかった。


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 NODA・MAP 第15回公演 『ザ・キャラクター』 ( 作・演出:野田秀樹/出演:宮沢りえ、古田新、藤井隆、橋爪功ほか/2010年6月20日~8月8日/@東京芸術劇場・中ホール )


 完成度の高い芝居を作り続ける野田秀樹の最新作。 野田秀樹作品は、(感想書いてないけど、)『ザ・ダイバー』以来。


 「紙」に漢字を書く書道教室には「神」がいて、神に狂信的に従う閉鎖的な集団と化している。 そして、その狂信的な集団は悲劇的な結末へと自ら突き進んで行く。 

 オウム真理教が地下鉄サリン事件へと至る過程を下敷きにした話。


 そんな話を、「紙」と「神」を掛けたり、「神」と「袖」の類似性を用いたり、半紙に書いた漢字を偏とつくりに分解してその成り立ちにまで踏み込んで台詞に組み入れたり、書道教室の「神」たちをゼウスを頂点とするギリシア神話の神々になぞらえたり、等々、独創的なアイディアが多数盛り込まれていて、現実やそれと関連するメッセージ性をしっかりと保ちつつも、それだけにとどまらない完全に新たな芸術作品を築き上げている。

 狭い舞台の上で役者が使えるのは、人間と小道具だけだけど、その2つのもので想像を絶する無限の表現をする演出も健在で、その都度感心するし、舞台芸術であることの必然性をこれでもかというくらい主張してきて心地よい。

 作品のテーマ、一つは「安易さ」。 なぜ、麻原彰晃みたいな俗っぽい人間に心酔してしまうのか。 この芝居では、なぜ無責任で「スク水」好きな胡散臭い変態オヤジにはまってしまうのか。 安易に救いを求める心の幼さ、弱さが人々の中にあるのだろう。 そして、これは、この芝居を観て、「重い・・・」とか「救いがなくて自分の好みではない・・・」とかいう感想を相も変わらず能天気に垂れ流している人たちへの辛辣な問いかけになっている。 のだけど、きっと、いや絶対、届かないだろう。

 作品のもう一つのテーマは、「集団性」(主に日本人特有の)。 こちらは野田秀樹の作品に毎回のように顔を見せるものだ。 天才からすると、自分に自信(と才能)がないために群れて「皆と同じ」で安心したい一般ピープルの存在やその心性が理解できないし、許せないのだろう。 天才は孤独でもあるだろうし。 とはいえ、その集団性が、その集団性を保持するために、異質な個人や集団を抹殺せんがばかりに集中攻撃を仕掛ける様は、異様であるし、この帰結を思うと恐ろしくもある。


 そんなわけで、あらゆる面で素晴らしい芝居だった。

 そして、野田秀樹がしょうもない「演劇好き」たちに対して批判を投げかけているという確信を新たにした。 と同時に、なぜこんな届いてもいないし届きそうもない挑発を続けるのか、そんな状態で虚しくないのか、あるいは、本当に届けるつもりがあるのか、という野田秀樹に対する疑問も生まれてきた。 (その疑問の解決のヒントになるかもと思って、NHKの『爆笑問題の日本の教養』を見たけど薄っぺらくて何の役にも立たなかった。太田と野田が出てあの内容になってしまうのは、どんだけ制作力がないんだと思った。)
 手作り工房錫村・春シャッキリ公演 『 真っ盛り 』 ( 作・演出:錫村聡/4月21~25日/@新宿タイニイアリス )


 複雑な関係になっている居酒屋の店員たちが勢いと笑いを生み出しながら怒濤のごとく駆け抜けていく芝居。

 ストーリーはほとんどないけど、その威勢の良さとおかしさは( 最初の猫の場面以外、)一貫して衰えることなくノンストップで、おもしろかった。

 ただ、劇中、猫の場面で本物の猫が出てきたり、風呂の場面で女性の役者が上半身裸で出てきたりしたのだけど、両方とも、芝居の展開の上でも作品の出来の上でも、それらを用いることの必然性がなく、逆に、これで刺激とか衝撃とか面白さを与えられてると思ってしまっているその浅はかさに、痛々しく思ってしまった。 

 公の場で見せてはいけないものを見せるというのは、( 性的なものの場合は特に、 )小学生でも考え付くレベルの、人をおもしろがらせる手法で、その発想自体はかなり素朴なものだ。( 小4の時、机の上に乗って下半身をさらしていた男子クラスメイトたちが思い出される。 ) それだけに、それを劇中で用いるのなら、どのようにそれを使うのかというのが問われてくる。

 その点、この芝居は小4男子のレベルを超えるものではなかった。 ( ちなみに、これはお笑いでも同じで、大学の学園祭で下半身を露出した極楽とんぼの笑いは小学生レベルだ。)

 そんなわけで、メインのところはおもしろかったけど、それ以外のところで余計なことをしてマイナスの評価を与えてしまっている芝居だった。

 「 PRIFIX3 」 ( 2009年8月29~30日/@王子小劇場 )


 7つの団体がそれぞれ20分の作品を演じる演劇イベント。

 最後の3団体のみ観た。

 「自己批判ショー」は、最初の方の、奇妙でコミカルな設定を生かしたネタがおもしろく、話がどう展開していくのか楽しみにしてたら、話は進まず、結局、最初の方しかおもしろくなくて、がっかり。

 「Mrs.fictions」は、部分部分ではシュールでおもしろ気なところもあったけど、全体での印象はもはや消え去った。 というか、そんなもの、きっと、もともとなかった。

 「バナナ学園純情乙女組」は、正直に言うと、出だしの辺のセリフがよく聞き取れなくて、その後は、うつらうつらしながらだったから、よくわからない。

 ただ、いつも通り、最後に歌と踊りのライブをやっていて、そっちはしっかり見た。

 以前に何回か観たことあるけど、以前と比べて、見世物としての完成度が格段に上がっていてびっくりした。 前は、自分たちでただ好き勝手騒いでるだけで、見せられる方としては不快ですらあったけど、今回は、自分たち内輪での楽しさから観客にとっての楽しさへと視点がそこそこ移ってるように感じた。

 それでも、劇団にとっては馴染み深いのかもしれないけどこっちからしたら誰だよって人を乱入させてしまうところとか、中学校の放送部みたいな下手なMC(DJ?)とか、そして何より、観客を巻き込む/引き込むところとかは、課題だと思うけど。

 
 バナナ学園純情乙女組・落しマエ公演 『 アタシだけ楽しいの 』 ( 脚本:中屋敷法仁/演出:二階堂瞳子/2009年3月11日~15日/@王子小劇場 )


 喜怒哀楽4部作の4作目。 とはいえ、それぞれタイトルに「喜・怒・哀・楽」のどれかが入ってるだけで内容的な補完関係はない。

 前回は比較的良かったから期待してたけど、ひどかった。

 駄目なところは以前と変わらず。

 自分たちが楽しんでるのはよくわかるのだけど、まったく見世物になっていないのだ。 あるいは、全く見せる/楽しませるという意識がないのだ。


 例えば、劇中に出てくる(あるいは終演後の)大勢での歌&踊り。 センターの歌い手の後ろにずらっと人が並んでオタ芸をしているのだけど、客席から観ていると、視覚的にも聴覚的にも歌い手より後ろでオタ芸をしてる人たちの方が圧倒的に目立ってしまっているのだ。 そんなわけで、大勢での歌&踊りは、カラオケボックスでの二次会を見せられているような感じがしてきて苛立ちを覚えた。


 それから、劇中、役者たちが役から素に戻ってアドリブで会話をするように見せる場面。 これなんて、演技が下手すぎるために、痛々しいほどわざとらしさばかりが目に付いてしまうのだ。


 それから、脚本。 脚本が来たのが公演直前だったということをやたら持ち出してくるのだけど、この言い訳を聞くのはこの劇団ではもう3~4回目だ。 金払って観る側からすれば「そんなの知るか」ってところだし、いちいち強調するのが言い訳がましくてウザイし、プロ意識(に準ずるもの)の欠如を大々的に暴露してしまっていて情けない。


 それから、チケット予約。 公演日の3日前に予約のメールを送ったら、公演の前日になって返信が、携帯から、タイトルなしで、来た。 しかも、内容は「券種は何か?」と。

 「券種を書け」なんて公式ブログでの告知に書いてなかったし、だいたい、「券種」って「一般前売り」か「学生前売り」か「平日お昼割引」ぐらいしかなくて、「日曜」な時点で「平日お昼割引」はないし、そもそも普通、「一般前売り」でしょうに。

 そして、知らない携帯のアドレスから、( 一番驚き呆れたのはここだけど )タイトルなしで来たメールって、普通中身を確認するまでもなく迷惑メールフォルダ行きでしょう。

 そんなわけで、怒ってもいたし所詮券種だし、あえて返信しなかった。

 そしたら当日、なんと、予約されていなかった。 ( さすがに、前売りの値段で観れたけど。)

 いや、あえて返信しないなんて、確かに自分は器が小さくてイヤな奴だけど、そんな高いレベルのことは決して要求していないはず。 ただ単に、ごくごく初歩的なレベルの常識を複数守れていなかったから教育的行動に出たまでだ。



 ともかく、要するに、自分たちのやりたいようにやるのは大いにけっこうだけど、最低限守るべきもの、考えるべきことはあるだろう若者たちよ、ということ。

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