忍者ブログ
by ST25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 DBC ピエール 『ヴァーノン・ゴッド・リトル――死をめぐる21世紀の喜劇(都甲幸治訳/ヴィレッジブックス、2007年)
 
 
  痛快無類の文体で、現代アメリカを黒い笑いの連打で駆け抜ける ブッカー賞受賞の大問題作 という帯の宣伝文句に惹かれて読んだ。

 今のアメリカの日常において起こり得る悲劇(はたから見れば喜劇)を、クソだと思ってるその日常によって悲劇に巻き込まれてしまう15歳の少年の語りを通して描いている。

 描かれる日常は、家族事情、地域社会、学校でのいじめ、少年犯罪、銃犯罪、憲法、マスメディア、同性愛、薬物、貧困、ダイエット、移民、陪審制、宗教、死刑制度などなど、実に幅広く充実している。

 まさに“アメリカの現実”(日本で伝え聞くものだけど)のあらゆる面を網羅してぶち込んでいる。

 その、ごくありふれた現実が、原因と結果の必然的なつながりのはてに、一人の少年を死へと追いやる。

 その恐ろしさと愚かしさが強烈なメッセージとして伝わってくる。

 それはもちろん、日本の現実に当てはまるものも多く、日本人でも実感を伴って読むことができる。悪を祭り上げようとする国民の欲望とメディアの報道なんか特に。

 そんなわけで、アメリカの日常・現実のあらゆる面を網羅しているところと、その日常・現実を生きる普通の人たちに対する強烈な批判的メッセージというところでは、読み応えもあって評価できる。

 ただ、「ありきたり」とか「現実そのまますぎる」と言えなくもなくて、全体的に創造性に欠けるようにも思う。

 まとめれば、つまらないこともないけど、取り立てておもしろいということもない小説。
 
 
 ちなみに、(帯の)「痛快無類の文体」に関しては、おそらく訳の問題のために、それほど感じない。

 単語レベルでは相当に汚い用語が頻発してるのに、口調とか語尾とかが真面目な感じで噛み合ってなくて、違和感を覚える。

PR

 大江健三郎 『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ (新潮社、2007年)
 
 
 最も新しい大江健三郎の中篇小説。

 去年、12月10日の講演会を聴きに行く前に読んだから、ひと月ほど前に読んだもの。

 最近の作品の中では一番おもしろかった。

 中期以後(?)の作品によく見られる、民話の世界に逃げ込むということがなく、民話は登場するけどあくまで舞台が現実のままなのが良い。( 民話の滑稽さの中に入っていくだけなら、そのおもしろさは童謡と変わらない。)

 2人の老人が昔、純粋無垢な心で映画制作を始める。しかし、そんな“純粋無垢”を陵辱するような行為に絡んだ事件によって、その映画制作の計画は頓挫してしまう、という話。

 美しくも儚い。

 いかにすれば純粋無垢を守ることができるのだろうか。

 そんなことを考えるのは独りよがりな勝手な空想だろうか。

 J.G.バラード 『殺す(山田順子訳/東京創元社、1998年)
 
 
 新年早々、物騒なタイトルだけど、他意はありません。

 高級住宅地で起きた大量殺人事件から浮かび上がる、今で言う「ゲイテッド・コミュニティ(gated comunnity)」(やそういうものを求める人間心理)の病理を浮き彫りにした、SF作家J.G.バラードの1988年の予言的小説。

 短い中で、事件に絡めたミステリー的な方向と近未来社会への警告的な方向とでどっちつかずになってしまっていて、どっちとも掘り下げが浅い。

 そんなわけで、これを20年前に書いていたことに対する(多少の)評価以外には、特に褒めるべきところはない。
 
 
 人間の、すべてを思うがままにコントロールしたいという理性的・神的な欲求の帰結はいろいろなところで指摘されてることだし、この程度であれば、一般人が日常生活で感得できることでもある。

 つまり、SF的な想像の伸びも小さい。

※ 日々感じたこと考えたことをこの記事の一番上に足していく形で、不定期に書き連ねていきます。

☆★☆★☆★☆★☆

1月21日
・ てるてる坊主と雪だるまって、似てるよね。

1月19日
古紙偽装問題、クリーンであってほしい分野だっただけに“裏切られた感”が大きい。ただ、“環境”の観点から語るには、「 現に存在する古紙全体が、どれだけ有効に使われているか?」というマクロな視点からの計算がないと不完全になるように思う。今回の問題では、「古紙を捨ててた」とか「古紙を無駄使いしてた」とかいうことまでは明らかになっていないようだから。(参考:「日本の古紙の回収率・利用率のデータ」。)
  ただ、この問題に関連して2点ほど。
  その1。(社長が辞める)日本製紙のリリース(PDF)より。

(コピー用紙の再生紙化を始めた)この時点(平成2年ごろ)では、古紙パルプ配合率の増加を努力目標としてとらえておりました。しかしながら、平成13年にグリーン購入法が施行された以降も依然として努力目標として考えており、同法の趣旨に関する理解が不足しておりました。 (3頁)

 Oh, really!? そんなバカな。故意犯であることを隠したいだけかもしれないけど、これが事実だとしたら、この会社の法務部門等の人たちの日本語能力が疑われる。この滑稽さに気付いてないのだろうか? ( と思いつつも、環境省のグリーン購入法のページ、お役所言葉で抽象的な話ばかりされてて分かりにくい・・・)

  その2。王子製紙のリリース(PDF)は感情を逆撫でする。あたかも、犯罪者が、今までのほとんどの人生を罪を犯さず生きてきたんだから、今回の1つの犯罪ではなくて、トータルの人生で見てくれって言ってるみたい。リリースの冒頭部を引用。

グリーン購入法対象商品については古紙配合率の公称と実態に乖離はありませんでした。また、その他、グリーン購入法適用以外の再生紙につきましても、一部製品に乖離はあるもののほぼ公称どおりの古紙配合率となっております。なお、乖離している製品につきましては、すでに生産を中止いたしております。/しかしながら、過去において、(以下略) (1頁)

 ちなみに、ここでいう「過去」とは「去年の9月まで」のこと。「一部」とは「法適用外の生産量の12%(法対象も全て合わせても8.5%)」のこと。この姿勢を表すように、偽装した他社のリリースには見られる偽装理由とか今後の対策等についての説明は皆無。

1月12日
・ 国会での法案採決(という国会議員にとって最高に重要な職務)で、ボタンを押し忘れるような輩をのさばらせておくな。 日本国民の負託によっている立法権を侮辱する行為・発言だ。 民主主義国・日本の国会議員として、最低限の資質・常識を欠いている。 したがって、私は、衛藤晟一参議院議員が落選されることを切に願う。

1月5日
・ 『ネプリーグ』にしろ『ヘキサゴン』にしろ『平成教育予備校』にしろ、最近流行の“笑えるクイズ番組”は、一義的には、知ってて当然のことを知らない人や、答えを知ってる人からしたらブッ飛んだ答え、を見て笑う番組だ。なら、「知ってて当然のこと」とか「答え」を知らない人にとってはおもしろさは分からない。(フツーのクイズ番組としてなら楽しめないことはないだろうけど。)
 翻って、あなたの常識がないだけのに、「つまらない」だとか「くだらない」だとか「低質」だとか言ってることはないだろうか? 色々なことに興味を持ってるだろうか? 世界を狭く閉ざしていないだろうか?

1月3日
・ もう3日なのに、まだ頭が寝ぼけてる男性諸氏に贈り物。その名も、「ひめ★ずくし」!

1月2日
・ スバルのフォレスターのCMが良い! サンダーバードの音楽に合わせて、エンジン音を立ててる車が基地を出てく、見たいな感じの! 少年の心を超くすぐる! まず、車を何かスゴイモノに投影してるところ!(わかるわかる。)それから、基地・車庫を出てくところ!(興奮ポイント。F1とかでもマシンが爆音を立ててガレージとかピットを出てくシーンは興奮するんだ。)HPの「FORESTER島」とかいうのもいい!青い海に囲まれた宝島!自然と近未来の融合!良いなぁ。

・ 紅白、9時くらいまで観てた。しょこたん、リア・ディゾン、AKB48をひとまとめにして、最後にみんなで、『なんてったってアイドル』を歌う・・・。NHK、アイドルをバカにしてるだろ? 顔の良さだけでCD売ったとでも思ってるのか? こういう固定観念に捕らわれた思考しかできないから、小役人は嫌いだ。

・ 個人的にけっこう気に入ってるので、今年も〈自由帳〉続けます。こっちを更新してると(本筋の)ブログを更新してる気になって、るわけでもなくても、つい記事の更新数が減ってしまうという難点はあるけど。

2007年、お疲れさまでした。

2008年もがんばりましょう。

カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
[10/20 新免貢]
[05/08 (No Name)]
[09/09 ST25@管理人]
[09/09 (No Name)]
[07/14 ST25@管理人]
[07/04 同意見]
最新トラックバック
リンク
プロフィール
HN:
ST25
ブログ内検索
カウンター
Powered by

Copyright © [ SC School ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]