by ST25
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J.G.バラード 『殺す』 (山田順子訳/東京創元社、1998年)
新年早々、物騒なタイトルだけど、他意はありません。
高級住宅地で起きた大量殺人事件から浮かび上がる、今で言う「ゲイテッド・コミュニティ(gated comunnity)」(やそういうものを求める人間心理)の病理を浮き彫りにした、SF作家J.G.バラードの1988年の予言的小説。
短い中で、事件に絡めたミステリー的な方向と近未来社会への警告的な方向とでどっちつかずになってしまっていて、どっちとも掘り下げが浅い。
そんなわけで、これを20年前に書いていたことに対する(多少の)評価以外には、特に褒めるべきところはない。
人間の、すべてを思うがままにコントロールしたいという理性的・神的な欲求の帰結はいろいろなところで指摘されてることだし、この程度であれば、一般人が日常生活で感得できることでもある。
つまり、SF的な想像の伸びも小さい。
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