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 重松清 『見張り塔からずっと(新潮文庫、1999年)


 どこにでもよくいる、弱さゆえに周りに迷惑をかけてしまう人たちのために、つらい状況に追い詰められながら生きている人たちを描いた3つの中篇。

 マンションの中でのけ者にされる、自然好きで人のいいサラリーマン一家。 息子を幼くして亡くし精神的に参ってしまっている妻を持つ夫。 マザコン夫に苦しむ人のいい若奥さん。

 人の弱さ、醜さ。 ひたすら耐えなくてはならない境遇で生活し続けなければならない悲しみと孤独と虚しさ。

 劇的な悲劇とは違う、日常の日の目を浴びない辛さが、リアルで孤独で悲しみを誘う。

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 酒井邦秀 『どうして英語が使えない?(ちくま学芸文庫、1996年)


 日本の英語教育や英和辞典は日本語と英語との違いを無視し、英語を強引に日本語に引き付けすぎていると批判し、(いわゆる「母語干渉」を排して、)英語を英語のまま理解するべきことを主張している。

 筆者の物言いはやや過激なきらいがあって、日本人にイギリス人/アメリカ人になるべきだと言ってるみたいで無理があるところもあるけど、まったくもって正論だと思う。


 それから、日本語と英語の違いに関しては具体例がたくさん書かれていて、異文化理解もできて、読み物としてもおもしろい。

 そして、英語ができるのではないかという希望を持たせ、多読への挑戦をとてもそそる。


 ただ、筆者の主張する方法論については、日本の英語教育的な緻密な文法理解の上にこそ「英語のシャワー」とか多読が可能なのであって、文法の理解なしでは多読も不可能なのではないかと、つい、どうしても、自分の経験を絶対化して思ってしまうのだけど、どうなのだろう。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

10月16日
・ ノーベル経済学賞、まさか、オストロムとは!
 あの人、政治学の人だし、経済学の業績と言えるくらいきちんとした証明(数学とか統計使った)してるのかな? 実験とかやってそうではあるけど。
 経済学賞の政治学への接近は、政治学の経済学化(科学化)として喜ぶべきことなのか、あるいは、経済学賞の政治化として憂うべきことなのか、どちらのなのだろうか・・・?

10月11日
・ ノーベル文学賞、ドイツ人のヘルタ・ミューラーでした。 ふー。

10月7日
・ この間の日曜日、テレビで、鈴鹿でのF1日本グランプリを観たけど、ずいぶん空席が目立ってた。 テレビでは10万人って言っててそんなに入ってるのかと思ったけど、富士に移る前は毎年15万人だったから3分の1が減ったわけで主催者からしてみたら衝撃だろうなぁ。
 でも、やっぱり、鈴鹿は近年の人工的で味気ないコースと違って、バトルがなくてF1マシンがただ走ってるのを見てるだけでもおもしろかった。 のに、その上、オーバーテイクもけっこうあって最高のコースだなぁと思った。

・ ノーベル文学賞の発表が近い。 村上春樹は年齢的にまだかなぁという気もするけど、受賞したときのことも考えて( 「受賞して話題だから買う」というのが気分的に嫌 )、ようやく『1Q84』を買ってきた。 発売当初にあまりに買えなくてむかついて、放置していたのだった。
 ちなみに、文学賞はここ2年レッシング、ル・クレジオと、なんか軽い/こぢんまりしてるのが続いてるから、自分の好みに合ったドン・デリーロとかトマス・ピンチョンあたりを希望。 この2人は日本で絶版になってて読めない代表作もあるし是非。 ただ、ここのところ、イギリス人、フランス人と来てるから、ここらでまた(世界文学上の)小国から選出されるのだろうか。 そうなったら村上春樹もなくはないかも。
「 KREVA Concert Tour '09-'10 『心臓』 Round 1 」 (2009年9月22日(火)/@NIIGATA LOTS)


 アルバムと同名の「心臓」と名づけられたコンサートツアーのRound1。 Round1は地方をまわるライブハウスでのライブ。

 その1つに、もう2週間くらい前になるけど、行ってきた。


 セットリストとか構成は東京(と大阪)で行われたRound ZEROとほぼ同じ。(たぶん。) つまり、最新アルバム『心臓』の曲から昔のアルバムの曲にさかのぼっていくというのが基本な構成。 ただ、おまけ的なものがない分、Round ZEROに比べるとだいぶシンプルであっさり。

 そんなわけで感想としてはRound ZEROのときとほぼ同じ( マイナスおまけ分の満足感 )。

 心と体があったまる前にメインディッシュが出てきてしまった感じ。 あるいは、最後に向かって盛り上がっていくというのが味わえない感じ。

 それにおまけ的・サプライズ的なものがなかったこともあって、少し物足りなさの残るライブだった。

 やっぱりライブハウスでのライブは、コンサートホールみたいなでっかいところでやるのとは違ってサプライズ的なものでの楽しみがない分、(自分が)どこまで盛り上がれるかがポイントになる。

 (Round ZEROのときの東京と比べても)小さいライブハウスだったから距離の近さはベターだったし、それなりに楽しめはしたのだけど・・・。 なんかパンチ不足というか、やっぱ物足りない感じ・・・。

 アルバム『心臓』がとても良いだけに、それを生かしきれてない(それを味わいきれない)のが物足りなさにつながってるのかも。



 

 太田光 『パラレルな世紀への跳躍(集英社文庫、2007年)


 爆笑問題の太田光が徒然なるままに書き綴った短いエッセー(あるいは物語)集。

 イラク戦争、禁煙、サリンジャー、ヒーロー、UFO、いたずら、芸人など、話題はいろいろ。

 主張したり、批評したり、感想を述べたり、回想したり、空想したり、それらが相互に入り乱れていたり、書き方もいろいろ。


 ありもしないことを平然と述べたてるのは太田光の普段のお笑いの手法だけど、つっこみの田中がいない書き物の中では、どこまでが事実でどこからが妄想なのか分からないこともしばしば。 ( この本では、もはやちょっとしたSF短編かと思えるようなものまである。)

 そして、そのあいまいさが現実の世界と空想の世界とをしなやかに行き来させてくれて、読んでいて実に心地がいい。


 また、この本では、最後に結論や主張を述べたり、笑いで落としたりといったのとは異なる、ふっと終わり、余韻を残すようなものが多い。

 そこをとって、期待はずれとか言う向きもあるようだけど、ここまでいろいろ言って何も感じないのはあなたが空っぽなだけだよ、といったところだろう。 あるいは、そんな空っぽで受け身で思考/感性が止まっている人たちに問題意識を感じているのが、太田光だろう。


 テレビやこれまでの本のようにおどけず、リラックスしてストレートに頭の中のことをそのまま書きなぐってい(るように思え)て、太田光(あるいは爆笑問題)による本の中で、出色の一冊。

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