by ST25
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
太田光 『パラレルな世紀への跳躍』 (集英社文庫、2007年)
爆笑問題の太田光が徒然なるままに書き綴った短いエッセー(あるいは物語)集。
イラク戦争、禁煙、サリンジャー、ヒーロー、UFO、いたずら、芸人など、話題はいろいろ。
主張したり、批評したり、感想を述べたり、回想したり、空想したり、それらが相互に入り乱れていたり、書き方もいろいろ。
ありもしないことを平然と述べたてるのは太田光の普段のお笑いの手法だけど、つっこみの田中がいない書き物の中では、どこまでが事実でどこからが妄想なのか分からないこともしばしば。 ( この本では、もはやちょっとしたSF短編かと思えるようなものまである。)
そして、そのあいまいさが現実の世界と空想の世界とをしなやかに行き来させてくれて、読んでいて実に心地がいい。
また、この本では、最後に結論や主張を述べたり、笑いで落としたりといったのとは異なる、ふっと終わり、余韻を残すようなものが多い。
そこをとって、期待はずれとか言う向きもあるようだけど、ここまでいろいろ言って何も感じないのはあなたが空っぽなだけだよ、といったところだろう。 あるいは、そんな空っぽで受け身で思考/感性が止まっている人たちに問題意識を感じているのが、太田光だろう。
テレビやこれまでの本のようにおどけず、リラックスしてストレートに頭の中のことをそのまま書きなぐってい(るように思え)て、太田光(あるいは爆笑問題)による本の中で、出色の一冊。
PR
この記事にコメントする