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先月、くまきり あさ美写真集『ガケっぷち』を買った。くまきりあさ美は、アイドル界に大旋風を巻き起した人気アイドルグループ・チェキッ娘の中心メンバーの一人として活躍し、グループ解散後には大手芸能プロダクション・ホリプロに所属。しかし、その後は気まぐれな芸能界の中で苦しみ、事務所からも契約打ち切りを言及されるなどガケっぷちに立たされている。そんな中、出版されたのが本書である。
本書の中では、今の状態を映し出すかのようにぎりぎりまで挑戦している。すなわち、“着衣は脱ぐが見せてはいない”限界カットがしばしば登場する。しかし、本書の内容には不満を抱かざるを得ない。
アイドルの活動の“限界”についての私見として、(当然ではあるが)AVに出ることは絶対的に否定するが、最後まで脱ぐことも状況や内容や文脈によっては肯定し得ると考えている。したがって、本書のように過激な内容によって新たなファンを取り込もうとするビジネス戦略も受け入れられる。
それにもかかわらず、不満がある。いや、怒りがある。それは、本書が戦略上重要である限界ショットにあまりに焦点を当て、こだわりすぎているために、彼女の本質であり彼女のアイドルとしてのセールスポイントである“天然な笑顔が振りまく明るさ”が消え去っていることだ。本書を通覧した後の、「頑張ってるのは分かるけど、なんか・・・」という、どんよりとした暗い気持ちはここから来ているのである。これでは、戦略による新しい読者を得てもそれを惹きつけ続けることができない。本末転倒である。事務所、マネージャー、カメラマン、出版社によって、彼女は更に崖っぷちに追い込まれるのである。本人にはどうすることもできない。
ここに至って私は、ノーベル賞経済学者アマルティア・センを、そして、構造的貧困に苦しむ第三世界の人々を思い起こさずにはいられなかった。潜在能力が封殺されているのだ。まさに現代の悲劇。我々はこのような人をこそ救わねばならない。天下一人を以って興る。道は一つ。2940円を持って今すぐ書店へ!