忍者ブログ
by ST25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 劇団、本谷有希子・第12回公演 『 ファイナルファンタジックスーパーノーフラット 』 ( 作・演出:本谷有希子/出演:高橋一生、笠木泉、すほうれいこ、ほか/2007年6月4日~24日/@吉祥寺シアター )
 
 
 27歳にして各種演劇賞・文学賞を賑わしている演劇界の期待の星・本谷有希子が作った芝居。

 ※推理小説でもないんだから、観る前に何かを知るのが嫌な人は、こんなこと書かなくても読まないはずだと考えるのは至極真っ当だと思うのであります。

 
 
 裏切られて傷つくことを極度に恐れるため、リアルな世界の女性を毛嫌いし、二次元や自分の空想の世界の女性しか愛せない(いわば)オタク。 そのオタクに幻想を抱かせるだけ抱かせた後に真実を告げて裏切ってしまった女性( 幻想時:ユク、現在:縞子)。 縞子は、今も愛するそのオタクのために、現実の生身の女性で理想的なユクを作り出そうと頑張る。4人の自殺志願者は、ユクという自由のない役割を与えられることで生きがいを見つける。けれど、オタクは相変わらず自分が夢想した理想的だったときのユクのことを想い続ける。そんな6人が、オタクが所有する休業中の遊園地で暮らしている。だけど、そんな理想・妄想の世界なんてそもそも生身の人間たちにとっては存在不可能なものであり、色々と現実世界的(生身の人間的)なボロが出たり、現実世界からの雑音が入ったりして来ざるを得ない。そうして、理想的・妄想的な世界は結局崩壊する。

 というお話。

 まとめれば、思い通りにいかない現実世界や生身の人間に対峙するのが辛いからといって、そこから逃げて行き着く虚構の世界も結局存在不可能であり危うい、となる。

 さらに短くして一言で言えば、虚構(の危うさ)と現実(の辛さ・強さ)についての話、となる。

 オタクという極端で分かりやすい人種を用いてはいるけど、社会がある限り、いつの時代でも誰にでもどういう人間関係にでも(程度の違いはあれど)ある話である。

 そして、日本でそんな人たちの代表として批判される(主にアニメやアイドルの)オタクたちも、そんなことは重々自覚していることであろう。

 それだけに・・・、だから何!?、と。
 
 
 一歩踏み込んでダメだったところを2つ言う。

 その1。題材や現実の有意なデフォルメがほとんどなく、現実をそのまま舞台上に持ってきただけのようなものになっている。

 その2。しかも、その「現実」(現実認識)というのが、テレビとか新聞とかで見るような、あまりにもベタで浅はかな通俗的なイメージどおりのものであって、踏み込んだ認識だとか、独自の洞察だとかいったものが加えられていない。

 これでは(全体として)おもしろくなりようがない。せめて上の2つのうちの1つでも行っていてくれれば多少は楽しめたんだろうけど。( ちなみに、個別のシーンとか台詞とかでもおもしろいところ、笑えるところはそんなにない。)

 ただ、さすがにある程度の評価を受ける人だけあって、個々の台詞とか話の動き方とかは不自然な印象を受けるものが少なく、自然でスムーズだった。( これが特筆に価する状況というのは悲しいけど。これだけしか褒めるところがないのも悲しいけど。劇場は良かったけど芝居の内容とは関係がない。)
 
 
 そんなわけで、本谷有希子の小説1冊と芝居1本に触れてみたわけだけど、どっちもおもしろくなかったし、秀でたセンスも特に感じなかった。

 今回の舞台に関してそこそこまともな感想を書いているブロガーの多くが、『遭難、』( 戯曲が出版されている。)は賞賛してたから、この作品は実際おもしろいのかもしれない。

 だけど、傑作が1つだけというのはなんとも怪しい。というのが、現時点での評価。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
[10/20 新免貢]
[05/08 (No Name)]
[09/09 ST25@管理人]
[09/09 (No Name)]
[07/14 ST25@管理人]
[07/04 同意見]
最新トラックバック
リンク
プロフィール
HN:
ST25
ブログ内検索
カウンター
Powered by

Copyright © [ SC School ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]