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ジェイムズ・クラブツリー 『ビリオネア・インド』 (笠井亮平訳/白水社、2020年)
中国が“これからの国”とはもはや言えなくなった今、次の“これからの国”といったらインドではないだろうか。
しかし、インドについて知ってることの浅さと言ったら顔を赤らめたくなるレベルだ。
そこで、インドについてのおもしろそうな本を見つけたのをきっかけに意を決して読んでみることにした。
450ページ近くある大部だけに、小難しい文体・内容だったら嫌だなと不安も抱きつつ読み始めた。
「プロローグ」。事故を起こしたアストンマーチンの話からうかがい知れる異様な社会の空気に、一気に興味を惹きつけられた。
そして、続く「序章」での世界でも類まれなレベルの巨大な個人邸宅「アンティリア」の話。
おもしろい!インドってこんな国なの!って目から鱗が落ちるレベルの知識・エピソードが次から次へと出てくる。
全12章で知ることができるのはインドの超大金持ちのことだけではない。確かにビリオネアは全編を通して登場する。しかし、ビリオネアは政治、行政、経済、法律、スポーツ、地方政治、宗教とあらゆるところに影響力を持っているため、ビリオネアを通してインドのあらゆる現実を知ることができるのだ。
この1冊でインドについて相当広範な知識が手に入る。
インドにおいても相当ひどいレベルの汚職が蔓延っていた。(モディ首相の改革によって相当良くなったと著者は指摘している。現状の汚職レベルはわからない。)
これは、(違いもあるだろうが)日本も中国も通ってきた道だろう。
そこで一つ気になったことがある。
汚職にも合理性があるのだろうか。あるいは、もし汚職がなければもっと生産性を高くすることができたのだろうか。あるいは、脆弱な社会保障システム・公的支援の代替的な役割でも果たしていたのだろうか。
経済学ではきっとその辺の研究もあるのだろう。いつか見つけたら読んでみよう。
そんなことが、インドのあまりにひどい汚職エピソードの数々を読みながら気になった。
この本ではモディ首相の改革によって汚職も相当抑えられているとしている。
しかし、本当だろうか。なぜそんなことが可能だったのか。
これからも汚職は減り、法システムの安定した先進国へとインドは進んでいくのだろうか。
そのあたりはこれから個人的に注視しつつ、他の本を見つけたら読んでみたい。