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by ST25
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 岩田規久男 『経済学を学ぶ(ちくま新書、1994年)
 
 
 まとめて新書を片付ける【新書週間】の3冊目。
 
 
 分かりやすい入門書を多産している経済学者による最も初歩的な経済学入門書。

 経済学の基本的な概念を数式等を使わず文章によってごくごく自然に教えてくれる。経済学に全く触れたことのない人が一番最初に読むのに最適。

 ただ、何が幹で何が枝葉か判別できない素人による戯言を言わせてもらうと、「比較優位」のところは、論証なしに「特化すれば生産性が上がる」と結論だけを強引に押し付けているようで、「これで良いのか」と疑問を感じた。

 それから、「平成不況」の大きな原因の一つを、80年代後半に企業が投資しすぎて過剰供給・過剰な設備投資になったことによる「ストック調整」にしているのは、この本が書かれた時代(1994年)がもたらす制約だろう。(なぜなら、ストック調整に10年以上もかかるとは考えにくい。)

 とはいえ、もちろん、この本が現在においても有効な好著であることに変わりはない。

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 菊池信輝 『財界とは何か(平凡社、2005年)
 
 
 日経連、経団連、日本経団連、経済同友会、日本商工会議所(日商)といった経済団体を中心に財界の形成から現在までを追った本。

 一貫して貫かれているスタンスは「財界の影響力は大きい」というもの。

 戦前・戦中と財界は軍事政権に介入され、戦争を積極的に助ける活動を行ってしまった。そのトラウマのため、終戦から70年代くらいまでの経済が順調だった間は、政府の経済への介入を極力排し、独力で自律的に経済成長を成し遂げた。しかし、80年代に入ると、景気が悪いときには政府の支出を求めるなどかなりの影響力を発揮し、距離的にも政府への歩み寄りを図った。90年代から現在にかけて、その財界と政府との距離はますます縮まり、様々な審議会や政治献金や財界統一候補の擁立などを通してほとんど一体化の様相さえ呈している。そして、接近することで財界の意向を政府の政策に反映させようとしている。

 このように、この本は、著者自身はあまり意識しているとは言いがたいが、戦後の日本における、政治・経済における官僚主導論、官僚支配論、族議員支配論、政治家支配論といった幅広く流布している見方に異議を唱える内容になっている。

 ただ、これまでの通説や研究の蓄積との対話をしていないことにも表れているが、この本は学問的な本ではなく一般的な読み物であるため、「影響力」というものについての見方がかなりナイーブだったりするという問題点もある。

 また、読み物である割に、筆致が生き生きとしているとは言いがたいのも弱点である。

 とはいえ、大きな影響力を持っていそうであるにもかかわらず、これまであまり書かれてこなかった、財界という観点から戦後の日本の政治経済を見るという試みは有益だ。

 (少なくとも)最近の日本では、「財界」や「経済界」の言うことを無批判に信用してしまう風潮がマスコミにも国民の間にもある。この本を読むと、いかに財界が無責任で、一貫性がなく、自己中心的かが分かる。

 また、道路公団民営化委員長の今井敬が抵抗勢力となって委員長を辞めたのは彼が鉄鋼業界の人で道路建設を止めたくなかったからであるとか、経済同友会は先進的な企業の人が入っているため主張も先進的であるが、その分外資系企業の意向に近くなってしまっているとか、新日鉄からの日本経団連会長就任がなくなったから談合防止のための独禁法強化が可能になるとか、この本は実践的な財界の見方をも提供してくれている。
 
 
 ちなみに、個人的に財界のおかしさが一番表れているのは、日本経団連によるマニフェストの独自の評価に基づいた政治献金の斡旋だと思う。なぜなら、財界のトップである日本経団連会長が経済財政諮問会議のメンバーとして小泉自民党政権の中枢に入っているのだから、財界が自民党と民主党のマニフェストを「客観的に」評価できるわけがない。まさに、評価する側と評価される側が一体化しているわけだ。

 小泉首相が大物財界人に言ったとされる言葉に賛同する。

 商売人には政治のことは分からない(p307)

 佐々木宏夫 『経済数学入門(日経文庫、2005年)
 
 
 微分と積分、確率論に絞り、200ページ強の新書で分かりやすく入門レベルの経済数学を説明している、と評判の本。

 確かに、比較的すいすいと読み進めることができた。

 が、自分にとっては、それは確率論のところだけだった。

 微積の方は苦労した。
 
 
 
 数学は集中的にまとめて勉強したいと思っているのだが、なかなか手をつけていない。

 それでも、こういう簡単な本を読み溜めて少しでも慣れておくのも、心を入れて勉強するときの手助けになるだろう。

 いつか、このブログ上で「数学週間」でも勝手に作って自己拘束するのもいいかもしれない。

 数学以外にも、「経済学週間」、「統計週間」、「日本史週間」といったものも作って集中的に習得してしまいたいものだ。もちろん、経済学なんか一週間だけでは無理だろうが。

 N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー マクロ経済学Ⅱ応用編【第2版】(足立英之、地主敏樹、中谷武、柳川隆訳/東洋経済新報社、2004年)
 
 
 有名マクロ経済学テキスト、二分冊の二冊目をようやく読了。こちらは、経済成長、経済政策、ミクロ的基礎などがカバーされている。どれも一冊目の応用という感じ。

 とは言うものの、あまりに新しい情報が多過ぎて消化不良が甚だしい。

 これから少しずつ復習や試用などをしていかなければならない。
 
 
 
 それにしても、恥ずかしながら、このテキストを読んで初めて「マネタリーベース」と「マネーサプライ」が違うことに気が付いた。確かに、冷静に考えればあまりに当然のことなのだが、個々の事実を合わせることをせずにいたため、混同していた。

 ちなみに、マネタリーベース(B)は、公衆が保有する現金通貨(C)と銀行準備(銀行が保有=準備しているお金)(R)との合計額(B=C+R)で、その量は中央銀行によって直接コントロールされる。

 マネーサプライ(M)は、公衆が保有する現金通貨(C)と、預金者が即時に利用できる銀行に預けている資産(要求払い預金)(D)との合計額(M=C+D)で、マネタリーベース(B)に貨幣乗数(m)をかけた額がマネーサプライ(M)として流通することになる(M=m×B)。つまり、マネタリーベース1ドルはmドルの貨幣を生み出す。テキストのアメリカの現状を反映した例だと、マネタリーベースが5000億ドルで、貨幣乗数が2.3だから、2.3×5000億ドルで、マネーサプライは1兆1500億ドルとなっている。(なお、貨幣乗数は別の計算から導かれる。)

 なぜこういうことが起こるかと言うと、銀行は預金を元手に貸出を行って、貨幣を創造する(「信用創造する」)からである。銀行が、取り付け騒ぎが起こった場合に全ての払い戻しの要求に対応できるだけのお金を保有していないためにつぶれることを思い出すと理解が促される。(のは、小役人だらけの銀行を感情的にはつぶしたいと考えたりする自分だけか?)
 
 
 
 しかし、何はともあれ、マクロはひとまず終わった。次はミクロだ。復習などはその後だ。とりあえずは3月中に全体を一通り終わらせたい。

 N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー マクロ経済学Ⅰ入門編【第2版】(足立英之、地主敏樹、中谷武、柳川隆訳/東洋経済新報社、2003年)
 
 
 評判の良い経済学テキストの二分冊のうちの一冊。本来ミクロから学ぶのが正攻法らしいが、比較的馴染みのあるマクロからお勉強。評判通り、ものすごく分かりやすかった。「簡潔さ」が著者の信条らしく、確かに記述は簡潔である。けれど、必要なところは丁寧に繰り返し説明されていたりと、入門~中級の教科書としての心配りも忘れていない。

 このテキストの画期的なところが、これまでのテキストとは違う新しい構成を採用しているところにあるというのは有名な話である。つまり、価格が伸縮的な「長期」を古典派モデルを使って先にじっくりと説明し、それから価格の硬直的な「短期」の分析をIS-LMモデルを導入して説明しているのだ。経済学の初心者である自分のような人間が直感的に思い描く経済学は市場が万能な(?)「長期」であるから、先に「長期」を説明してくれるのは自分の頭に忠実に順を追って説明しくれているようでありがたい。
 
 
 それにしても一冊読み終わるのに随分と時間がかかってしまった。最初は調子が良かったのに中盤に中だるみしてしまった。これから、『Ⅱ』、『マンキュー経済学 ミクロ編』と読み進めていかなければならない。

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