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 橘木俊詔 『企業福祉の終焉 ――格差の時代にどう対応すべきか(中公新書、2005年)
 
 
 良くも悪くも新書らしい一冊。

 良い点は、企業福祉とそれに関連する歴史、各国比較、現状の制度などの基本的事項を分かりやすく網羅しているところ。また、主張の大胆さも良い。

 悪い点は、データなどの確証のない一般常識を受け入れてしまっていたり、重要な先行研究に全く触れていなかったり、肝心なところで他の自著を参照させて済ませていたりするところ。

 そんな本書での著者の主張は、日本企業が提供してきた福祉サービス、すなわち、社会保険料の事業主負担を中心にした法定福利厚生(医療保険、厚生年金、失業保険など)と、そこの企業で働く人だけにサービスの及ぶ非法定福利厚生(社宅、退職金、保養施設など)の両方をなくすべきというもの。それらを廃止した分は、社員の賃金に還元したり、国が税方式で制度運営をしたりして補うとされる。

 このように企業が福祉から撤退すべきだとする理由は多方面から挙げられている。例えば、社宅・退職金の賃金化は、企業規模間の相違による受益の不平等や多様な選択を可能とする個人主義などの観点から。社会保険の事業主負担の廃止と税方式化は、職業や性別間での不平等を解消することや、保険料徴収の失敗を回避することや、そもそも国民全体に関わる福祉を企業が負担することの正当性などを理由に挙げる。特に、企業と従業員の声や現状から企業福祉の終焉と「福祉国家化」を主張するのはあまり見られない論証だと思われる。

 ただ、本書で主張される保険制度(特に年金)の税方式化は神野直彦・金子勝が以前から主張していたし、今では民主党も主張している。にもかかわらず、これらについては全く触れられていない。もちろん、筆者の主張が企業福祉の全てというより広範囲に渡っている点や、主張に至る論証過程での差異は大きい。だが、神野直彦・金子勝の先行研究・主張は日本での保険制度の税方式化の(おそらく)先達であり、これに触れないのは親切ではないし道義的にも許されないと思われる。
 
 
 さて、企業が提供する福祉を個人の選択と国家の提供に還元しようとする筆者の主張は、極めて分かりやすい。なぜなら、全ての人に必要不可欠な福祉サービスは国家が平等に提供し(平等主義)、それ以外は個人の判断で福祉サービスを購入するか否かは決めるべきとするもの(個人主義)だからだ。したがって、「リベラリズムを基礎にした福祉国家」の構想としては説得力がある。

 この福祉における「福祉国家化と個人主義化」の追求は、福祉国家研究の古典的位置を確立している(が、本書では全く触れられていない)エスピン-アンデルセンの福祉国家の3類型(自由主義・社民主義・保守主義)で言えば、日本を保守主義と自由主義の間から、自由主義と社民主義の間へ移行させることを意図したものだと理解できる。

 本書でも簡単に触れられているが(触れられていないものもある)、個人のライフスタイル・価値観の多様化、家族の核家族化および少子化、地域社会の流動化・都市化、企業の企業福祉のメリットの低下、国家の保険財政の悪化というように、福祉サービスの受益・提供主体を一つずつ考えていくと、確かに筆者の主張は日本の望ましく、かつ不可避な進路であるように思われる。

 エスピン-アンデルセンは福祉国家レジームを分ける一つの指標として「脱家族化」や「脱商品化」といった概念を提出した。しかし、企業が福祉に(直接的に)大きな貢献をしていることは間違いない。筆者が本書で論じたような企業の観点から、「脱企業化」という指標も福祉国家を考える際に単純にそのまま導入できる分かりやすい指標だ。このような指標(とその結果としての分類)というのは、誰にでも利用しやすい判断基準であり民主主義の理念に資する国民的議論にとって非常に有益だ。また、小泉首相をはじめとする(学力低下する以前の世代であるにもかかわらず頭の弱い)諸先生方にとっても非常に有益だ。

 さて、そのような指標から判断するに、本書での筆者の主張は、福祉への負担が減る企業側が喜びそうなものであり受益者である個人の側からは注意を要するが、少なくとも「その方向性は妥当である」というのが自分の結論だ。



〈前のブログでのコメント〉
 餃子に勝つにはやっさんが焼売(シューマイ)になることでしょうか??? それか、ゆいにゃんは納豆が好きだと言っていたので納豆になるのもいいかもしれません。もっと身近なところではディズニーのキャラクターである「ミニーちゃん」に「あこがれ」を抱いているとのことなので、「ミニーちゃん」に変装するのも手っ取り早いです。

 ただ、ここまでくるとわけが分からないので(笑)、闘いの前提である「結婚という法律上の制度」を死守するために法律を勉強するのがお薦めの戦略です(笑)
commented by Stud.
posted at 2005/05/04 05:42
餃子が唯一のライバルって事やな。

負けれない!
commented by やっさん
posted at 2005/05/04 00:58
 たろー★

 いろいろ突っ込みどころがありますが(苦笑)、一つに絞って言わせてもらいます。

 法制度としての「結婚」という縛りをなくすのであれば、ゆいにゃんは「やっさん」より「餃子」を選ぶと思われます。思えば、餃子は熱い熱い鉄板の上でひたすら耐え続けていて、その姿はたくましくて男前です。しかも、「餃子」はすでに何度もゆいにゃんのお口の中に!!!
commented by Stud.
posted at 2005/05/03 18:06
はろー!
対極!?
例えば、僕と餃子を比べた場合、僕のほーがゆいにゃんの恋人にふさわしい。
僕と米倉涼子を比べた場合、性別的に、僕のほーが現行法上結婚できる。
彼女の意志を考慮しても僕とキムタクを比べた場合、ゆいにゃんは、キムタクとは結婚しないと考えている。つまり、キムタク以外と結婚するという事。僕はキムタクに見た目は近いがやはりキムタクではない。よってキムタクより僕とゆいにゃんは結婚すると考えている。
以上から、僕とゆいにゃんは、付き合うに違いないという推定が働く。
commented by やっさん
posted at 2005/05/03 15:25
はろー☆(←オリジナルはひらがなですよ。)

同じ言葉でも誰が言っているかを想像すると全く印象が異なるので要注意。特にゆいにゃん(市川由衣)とやっさんは対極に位置すると思われるので、読者の気持ちを察していただけるとありがたかったです(笑)

commented by Stud.
posted at 2005/05/02 14:08
ハロー☆ 笑

購買意欲を駆り立てられました。購入してみます。
commented by やっさん
posted at 2005/05/02 12:13
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