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白井克彦 『早稲田はいかに人を育てるか』 (PHP新書、2007年)
政治、経済、芸術、文化、スポーツ、犯罪と、良い面悪い面含めて、世間で注目を集めることがもっとも多い大学の総長による宣伝本。
早稲田の目指している方向性と具体的な改革について、主に、教養(リベラルアーツ)教育、英語スキル教育、情報(コンピュータ)スキル教育の3つに絞って説明している。
新書でこういうのを出すの(に手を貸すの)はいかがなものだろうか?
そんなわけで、これはパンフレット的な本だから、ここで書かれてる内容はある程度割り引いて受け取らなければならない。
特に、「寝る間も惜しんで勉強する学生が少なくない」という随所に出てくる理想的な学生像は、なんとも疑わしい。
だけど、大学が目指している方向性は正しいだろうし、「チュートリアル・イングリッシュ」とかの具体策は高校生、新入生にとってはなかなか魅力的に見えるのではないだろうか。
それに、何気に一番のポイントは、早稲田大学の、理念の実現に向けての実行力の高さ、フットワークの軽さが印象づけられることだと思う。
それから、東大、慶応を意識していると思われる早稲田の自己イメージに関する次の記述もまた魅力的に聞こえる。
「 私は仕事で全国をまわっていますが、人々がある種の期待と信頼をこめた視線を早稲田に向けていることを実感しています。とりわけ世の中が順調に流れていないとき、官ではなく民の意思を代弁する早稲田的なるものへの熱い期待を感じとります。社会からの信頼が厚い分、その期待が裏切られる事態が生じると、世の中は早稲田に厳しい視線を向けます。民に支えられた「国民の大学」としてのブランド力は早稲田のかけがえのない財産です。 」(pp198-199)
そんなわけで、なんとも宣伝がうまいなぁと感じる本だった。