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 桐光学園、ちくまプリマー新書編集部・編 『続・中学生からの大学講義2 歴史の読みかた(ちくまプリマー新書、2018年)

 

 名だたる研究者によって中学生向けに行われた講義をまとめたもの。長谷部恭男、柄谷行人、田中優子、金子勝、福井憲彦、野家啓一、白井聡、福嶋亮大が登場している。

 本のタイトルは「歴史の読みかた」になっているけれど、講義がそういうテーマで行われているわけではない。それぞれが自身の研究分野に関することを話している。そして、中学生向けということで、内容も理解しやすいものになっている。(ただ、さすがに中学生にとっては難しすぎないだろうかという気がする。高校生以上ならいけそうだが。)

 各人20ページ分くらいの内容だから、色々興味を持って色々なものを読んできた大人からすると目新しいものはそれほどないけれど、一流の研究者たちの考えていることのエッセンスには触れられる。



 ところで、今回この本を手に取ったのは、福嶋亮大がいたからだ。

 本書の錚々たる研究者たち(重鎮といってもいい)の中には2人だけ若い研究者がいる。1977年生まれの白井聡と1981年生まれの福嶋亮大だ。白井聡は『永続敗戦論』など著名な作品を出版していて名が知れているからわかる。しかし、福嶋亮大の方は正直、ヒットした代表作があるわけではなく、多くの人は「誰だこれ?」状態だろう。

 しかし、個人的には以前から注目している研究者だ。きっかけは何かの雑誌に載っていた作家の中村文則に関する評論。(中村文則こそ村上春樹の次の日本人ノーベル文学賞候補だと確信している。)それを読んだとき、今後、福嶋亮大を追い続けようと決めた。そうして、ついに(確か)初の単著『神話が考える』が出版された。期待して読み始めた。が、読んで愕然とした。全くもって意味不明なのだ。初めから読み直すことを何回か試みたが、やはり内容が理解できず、結局途中までで放り投げた。それ以来、ちょっと距離を置き、視界の片隅に留めておくくらいの状態が続いた。そして、今回の本書で久しぶりに相対した。その結果、内容は分かりやすいし、「観客の重要性」という独創的な視点を提示していて、力量を再確認できた。この間に出版されていた単著を読んでみようという気持ちになった。

 それにしても、この錚々たるメンバーの中に福嶋亮大を入れた編集者たちの慧眼には拍手を送りたい。






 

 
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