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越後島研一 『ル・コルビュジエを見る』 (中公新書、2007年)
「20世紀最高の建築家」とも言われるル・コルビュジエの創造の足跡やその魅力や日本への影響を紹介している。
ちょっと前に読んでた本(山崎正和『装飾とデザイン』)にル・コルビュジエの代表作「サヴォワ邸」がでてきて興味を持ってたところに、タイミングよくこの本が出たから読んでみた。
代表作「サヴォワ邸」は、ガウディの「サグラダファミリア」とは対照的な、装飾のない“白い箱”のようなシンプルな住宅だ。
ぱっと見、研究所とか実験棟とか(なんとなくサンシャイン60とかクラゲとか)を思い起こさせる。
無機質だし、街中に溢れてる平凡な建物と似てて、いまいち魅力が分からない。
この本を読んでも、時代の流れの中での意義は分かったんだけど、建物自体の魅力はよく分からないままだった。
著者が一生懸命言葉で伝えようとしているのは分かるんだけど、建物の特徴が分かるだけで、どうしてもそれが魅力にまではつながらない。
「白い箱」的な建物を見慣れすぎたからだろうか。うーむ。シンプル・ビューティは好きな方なんだけど・・・。
ル・コルビュジエ生誕120年ということで、「ル・コルビュジエ展」をやってるから(9月24日まで)、観に行ってみようかな。リアルに感じればまた違うかもしれない。
ところで、日本人は持ち家志向が強くて実際に自分で家を建てる人も多いんだから、建築学って、もっと馴染み深い学問であってもいいと思うんだけど、意外なほどにマイナーだ。
テレビCMを見て初めてガウディを知る、都知事選に出て初めて黒川紀章の作品を知る、そういうレベルの人が多い。
自分も同じようなもんだ。( かつては週末に入ってくるモデルハウスとかの大量の折り込み広告を片っ端から見る少年だったんだけど。)
建築についての玄人的な視点を持った国民がもっと増えれば、雑多な街並みも、景観訴訟も、眠るだけの家も、いろいろ変わるかもしれない。
でも、建築学に触れる機会というのはなかなかない。ちょっと興味を持ってもとっかかりがなかったりする。小中高はおろか、大学(文系)の教養科目にもないし。
そんなわけで、文系の学ぶ意欲のある人たちのスタンダード、新書には頑張ってほしいなと思う。