by ST25
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
高橋誠、森恵子 『本の本音』 (生活情報センター、2004年)
本書は2人の著者が行った10人の「論客」へのインタビューで構成されている。その10人というのは、山崎正和、西部邁、金子勝、島田裕巳、福田和也、森永卓郎、寺脇研、河上亮一、小田島雄志、田辺聖子である。インタビューでは各人の基本的な主張が簡潔に分かりやすく網羅されており、インタビュー・編集を行った2人の著者の見識と手腕の高さを示すと共に、現代の主な論点と、それに対する現在支持を受けている主張を、この1冊で知ることができるようになっている。また、各論客の著書5~10冊ほどが簡単に紹介されているのもありがたい。
本書からの収穫を簡単に書いていこう。①山崎正和の時代を見抜く思考の鋭さはさすがだ。再認識。②西部邁の主張を知った。数理経済学もやっていたのに現代社会を分析するときには社会科学的方法の基礎や論理が怪しくなる。ただ、親米保守よりは一貫していて良い。『反米の作法』読んでみてもいい。③森永卓郎の「年収300万円時代を生き抜く」という主張は意外とまともで好感が持てる。自分の収入を明かして、それを実例に語る主張は説得力がある。④寺脇研は色々な人と激論をしているだけに、なかなかまともな主張に仕上がっている。ただ、何で一官僚がこんなに色々やってんだ?⑤中学校の先生である河上亮一は、“out of the question”。論理とか、特殊と一般とか、議論の基本を勉強し直してから出直して下さい。⑥田辺聖子はさすがに作家だけに一つ一つの言葉が綺麗で絶妙。作家かくあるべし。
PR
この記事にコメントする