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 開高健 『パニック・裸の王様(新潮文庫、1960年)
 
 
 1950年代後半に書かれた、今に通じる現代社会の病理を捉えた4つの中篇小説からなる。
 
 
 大衆社会と組織社会(官僚制化)。この現代社会の特徴を、個々別々にこまごまと追究するのではなく、「大衆vs.大衆」、「大衆vs.官僚組織」という対決の形(それはネズミの大群と人間たちとの対決という形でなされる)でダイナミックに描き出すという独創的なアイディアが光る『パニック』は傑作。この作品では、大衆たるネズミの大群が最終的に迎える結末、大衆たる一般市民たちの迷走、役人たちのネズミの大群問題への取り組み姿勢や対処法など、どこを取っても大衆的、組織的行動のオンパレードで、現代社会を隠喩的に見事に凝縮した小説になっている。滑稽で(ちょっぴり刺激的で)おもしろい。
 
 
 始皇帝による秦国建設という壮大な歴史的事業を、歴史モノさながらの雄大な筆致で描きながら、組織社会・官僚制化の特徴や弱点を浮き彫りにした『流亡記』も傑作。
 
 
 社会によって成型された大人と自由な感性を内に秘めた子供との静かな闘いを描いた『裸の王様』は、平凡だし、理想論により過ぎている。
 
 
 会社組織やそこで行われる競争の病理や虚しさを描いた『巨人と玩具』は、平凡でありきたり。現実そのまま過ぎて面白みがない。
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