by ST25
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重松清 『カカシの夏休み』 (文春文庫、2003年)
学校を舞台にした中編3作品。
安定の重松作品で、さくさくと読み進めたくなり楽しめる。
表題作、「カカシの夏休み」。授業中、急に立ち歩いたり叫んだりする問題児童のカズをめぐる周囲の大人たち・子供たちの姿を描いている。どのようにカズが立ち直るのか、興味深く読み進めていたのだけど・・・、あまりに呆気なく治ってしまって、不完全燃焼かつ「こんなに簡単なものか?」という不満が沸いてきた。
「ライオン先生」。たてがみをなびかせていた熱血先生が今ではかつらをかぶり、無気力な生徒に手こずっている。先生本人には実に深刻な悩みだろうけれど、社会性はなく、どうしても軽く感じて軽く感じたまま読み終わってしまった。
「未来」。いじめ自殺が発生し、遺書に書かれていた男の子が「ハンニン」扱いされる。また、男子生徒が自殺直前に大して仲が良くもない女子生徒に電話していて、その女子生徒が「ハンニン」扱いされる。はたして誰が悪いのか?いじめた側か自殺した側か?それはとりあえず措いておいて、事実や善悪の全てを知っているかのように、アカの他人が「死ね」だとか「おまえのせいだ」とか言うことが悪いというのは確かなことだろう。そして、人が死んだことに対して、「誰のせいか?」よりも先に「悲しい」という気持ちが湧いてきているのか?それこそが大事ということだ。
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