by ST25
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
湊かなえ 『高校入試』 (角川文庫、2016年)
そんなミステリー。
まず、事件が進んでいく過程が読んでいてもあまりおもしろくない。入試事務を行う教師たちに緊張感がないし、不審なことが起こった後も彼らは自己保身と適当な推理ばかりで魅力的な人物でもない。また、「実際の入試はもっときちんとやってた気がするけど?」と突っ込みたくなるような教師たちの不手際が多すぎる。しかも、そこが犯行の肝になっていたりして「ミステリーとしてどうなの?」と思えてしまう。そういう緊張感もリアリティもない中で話が進んで行ってしまう。
それから、トリックも、「おっ!」と思わせるような独創的なものではない。拍子抜けしてしまうような結構単純なものだったりする。
犯人の動機はちょっと深くてちょっと感動的。そして、その動機を引き立たせるためのそれまでのつまらなさだったとも言えるのだけど、だからと言って、過程の退屈さが正当化されるわけではない。
そんなわけで、誰もが経験した「受験」という厳格に運営されているはずのものをテーマにして、今を時めく作家が書いたミステリーということで期待したけど、残念ながら期待値を上回ることはなかった。
PR
この記事にコメントする