by ST25
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梨木香歩 『家守綺譚』 (新潮文庫、2006年)
家主の替わりに家を守ることになった物書きの男を取り巻く、のどかで豊かな自然にまつわる、とっても奇妙な出来事を静かに描いている短編集。
心をもったサルスベリ、屏風から出てくる今は亡き旧友、人をだます狐狸、カッパなどなど、ファンタジックなものがたくさん出てくる。けれど、それらが実に見事に溶け込んだ世界を創り上げることに成功している。
そこで描かれる山村は、現実離れしているけれど、日本人に「故郷」や「懐かしさ」を思い起こすようなほのぼのした田舎の風景になっていて、読んでいるととても心地良い。
人の持つ想像力の豊かさ、フィクションである小説のおもしろさを味わうことができる秀逸な作品だった。
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