by ST25
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栗山民也 『演出家の仕事』 (岩波新書、2007年)
新国立劇場演劇研修所の所長であり演出家でもある著者が、これまでの様々な作品や人との交流を通じて獲得してきた、演出するための(あるいは、演劇においての)心構えを、様々なエピソードを交えながら語っている、エッセー風の演出家入門。
個人的に興味があった、演劇における演出家・脚本家・役者の間の責任や役割に関する(外部からみて感じる)曖昧さという問題に関しては、あまり応えてくれてはいなかった。
けど、それより、演劇に限らず他の全ての文化・芸術作品も(本来)持っている(はずの)、“内的深さと外的広がり”の存在・可能性を感じ取らせてくれ、演劇に関係・興味のない人が読んでも楽しめるものになっている。
演劇に関してのスタンスでは、演出家であれ役者であれ、あらゆるものに対して心を開き、あらゆるものと対話することの重要性が特に強調されている。すごく真っ当なことではあるけれど、言うは易し行うは難し、ではある。ただ、その方法論については、(教科書ではないから)当然ながら、語られていない。
また、役者育成法や劇場事情など、外国の演劇事情もたくさん紹介されていて興味深い。質はどうあれ、演劇に対するヨーロッパの観客の“是々非々”なスタンスは羨ましい。
こういう視野や問題意識の広い人が作る作品には興味をそそられる。( 現実はそんなに甘くはなかったり(=作品はつまらなかったり)するものだけど。)
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