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中村元 『水族館の通になる』 (祥伝社新書、2005年)
生まれ変わったらクジラになりたい。
あの巨大さにロマンを感じる。
マンボウも好きだ。
あの大きさであの形。これまたロマンだ。
しかし、自分には、来世のことを自分で決められないばかりか、海でこれらの生き物を見ることも不可能だ。
そんな欲求不満を満たしてくれるのが水族館だ。水族館には巨大なジンベイザメもいるし、マンボウもいる。他にも、デンキウナギ、カブトガニ、ピラニアもいる。その一方で、きれいな熱帯魚もラッコもいる。
水族館は心躍らせる空間であるとともに、心を落ち着かせる空間でもある。
そんな水族館の奥深さや更なる楽しみを提供してくれるのが本書だ。
本書では全てを通して知的好奇心をそそる視点によって水族館についての知識が分かりやすく書かれている。
例えば、巨大回遊水槽を可能にした日本の技術力や、水槽の“ガラス”の構造や、海水の調達方法や、ピラニア水槽の大胆な掃除方法や、アシカのショーの覚えさせ方や、魚を自分で捕獲に行く飼育員などなど。
これらの知識は、実践(=水族館見学)でこそ生きてくるものばかりだ。
この本こそが、まさに「水族館を100倍楽しむ方法」という題名でもおかしくないと思わせる本だろう。
またそして、水族館で働く筆者の生き物への愛情に満ちた文章からは安心感を感じることができる。というのも、水族館に行ったときに、官僚的飼育員や、観察・研究対象として生き物を見る飼育員が育てている魚だと思ったら見る気が失せるからだ。
それにしても、人類(生物)はひたすら祖先を辿っていけば海の中に行き着く。
そう考えると、国家なんていう人工物に愛着を感じることのなんと倒錯していることか。そんなのアキバ系のオタクと変わりない。(※ただ、私はアキバ系のオタクを多くの人たちのように全く否定的に見ていないので念のため。)
求められるのは、「ナショナリズムからナチュラリズムへ」だ!?