by ST25
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中川右介 『第九――ベートーヴェン最大の交響曲の神話』 (幻冬舎新書、2011年)
ベートーヴェンの「第九」の誕生から現代までの歴史を、様々なエピソードを交えながら辿っている本。
軽い読み物としては良くできていて、最後まで退屈することなく楽しめた。
「第九」が、たった一つの曲にすぎないにもかかわらず、ベルリンの壁崩壊、ナチス政権、民主化革命など、これほどまで歴史的な大事件と関わっていることに改めて驚愕した。そして、それだけ人々の感性に訴えかけ、人々の感情を喚起し、歴史的な場面に立ち会った人々の興奮にさえ負けずに寄り添えるこの曲のパワーにも改めて圧倒される思いがした。
また、フルトヴェングラーやカラヤンやバーンスタインといった世界的な指揮者たちがこの曲をどう捉え、どう関わってきたのかというのも興味深かった。自分の持ってるCDで指揮をしている者がどういう考えを持ち、どういう状況でタクトを振っているのかという物語性が付与されるのは面白い。
こういった様々な知識や物語性の付与は、「第九」を聴く楽しみにますます深みを与えてくれるものだ。
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