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 ヴィクトル・ペレーヴィン 『眠れ 〔群像社ライブラリー2〕(三浦清美訳/群像社、1996年)
 
 
 現代ロシアの新進気鋭の作家による短編集。ロシアでは、(1991年の話ではあるけど)本が発売数日で完売になったほどの人気作家であるとのこと。

 とはいえ、大衆向けの娯楽作品ではなく、各種文学賞も受賞するような小説である。

 作風は、村上春樹を少しSFチックにした感じ。日常の一断片をファンタジックに切り取って題材にしているあたりは、特に村上春樹風。

 日常の普段全く意識しないおかしなことを気付かせてくれる。その上、最後に、そのおかしなことの帰結まで話を展開させてくれているものもある。

 1991年の作品であることもあってか、当時やそれ以前のロシアの時代状況を直接・間接に意識した描写も見られる。けど、それを気にしなくても問題なく読める。

 テレビゲームの世界と現実の世界が錯綜する「ゴスプランの王子さま」、下らないクソだらけな世界を描いている「ヴェーラ・パーヴロヴナの九番目の夢」、みんな眠りながら生活している「眠れ」が、特におもしろかった。

 「世捨て男と六本指」は、よく情景を理解・想像できなかった。

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