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by ST25
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 Jean Fritz. Where was Patrick Henry On the 29th of May? (PaperStar, 1997)
 
 
 アメリカ独立運動時の名演説("Give me liberty, or give me death!")で知られるパトリック・ヘンリーについての子供向け伝記。

 調べてみても日本語の本はなさそうだったからやむを得ず英語の本(とは言っても子供向けの簡単で短いのだけど)を読んだ。

 子供向けの伝記だけに、思想信条とか政治行動とかに関する記述は少なくて、生い立ちとか名演説の場面みたいな象徴的な出来事の記述が多い。
 
 
 この本で描かれているパトリック・ヘンリーの人物像はこんな感じ。

▽ 子供の頃は裸足で野山を駆け回り、学校では落ち着きがなかった。
▽ そんな自然の中で育ったこともあって、自由については敏感だった。
▽ よく届く声(sending voice)の持ち主だった。
▽ 政治家で名演説家でもあった伯父の影響もあって演説や討論をよく聞いており、そのうちに演説の要諦を身に付け、また、弁護士を目指し弁護士になった。
▽ 税を課そうとし戦争の準備をしていたイギリス国王に怒るとともに、イギリス国王と仲良くし平穏に済まそうとしていたアメリカ人にも怒っていた。
▽ 州の独立を侵すアメリカ合衆国憲法に反対し、権利章典を制定させることで納得した。
▽ 引退後は莫大な土地を手に入れ、それを誇りにして暮らした。
▽ トマス・ジェファソンは彼を評して「Patrick Henry was all tongue.(弁舌しかない男だ)」と言っている。 
 
 
 名演説からイメージされるかっこよさを生き方にも貫いているとは言いがたいし、逸話に満ちているということもない。それに何より、自分好みではない。

 若干残念ではあるけど、まあ、あり得ることではある。
 
 
 とはいえ、変わらずに輝き続ける名演説(の最後の部分)を最後に。
 
 

It is in vain, sir, to extenuate the matter. Gentlemen may cry, Peace, Peace――but there is no peace. The war is actually begun! The next gale that sweeps from the north will bring to our ears the clash of resounding arms! Our brethren are already in the field! Why stand we here idle? What is it that gentlemen wish? What would they have? Is life so dear, or peace so sweet, as to be purchased at the price of chains and slavery? Forbid it, Almighty God! I know not what course others may take; but as for me, give me liberty or give me death!
 ――by Patrick Henry, March 23, 1775, at St. John's Church in Richmond, Virginia
 
 ※原文はこちらのサイト(「Project Gutenberg」)より

 
 続いて、拙訳。意訳という名の駄訳(かも)。

 事態を軽んじるのはもはや無駄なことだ。 諸君は、平和が、平和が、と叫び立てるだろうが、現に戦争は始まっているのだ! 次に通り過ぎる北からの風は、我々の耳に完全な武力衝突の知らせを運んでくるだろう! 我々の同胞はすでに戦場にいるぞ! それなのに、なぜ我々はこんなところで無為に突っ立っているのだ? 一体諸君は何を望んでいるのだ? 一体諸君は何を手に入れることができるのだ? 鎖と奴隷を代償にして購(あがな)われるほど、命は惜しいものか? 平和は甘美なのか? 断じてそんなことはない! 他の人たちがどんな道を選ぶか、私には知る由もないが、私に関しては、自由、しからざれば、死だ!
 
 ――パトリック・ヘンリー、1775年3月23日、セント・ジョンズ教会(ヴァージニア州リッチモンド)にて

 

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