忍者ブログ
by ST25
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 ドストエフスキー 『地下室の手記(安岡治子訳/光文社古典新訳文庫、2007年)

 徹底的に過剰で卑屈な自意識によって、それを自覚していながら、友情や恋愛など人生のあらゆるもの(というか人生そのもの)を駄目にしてしまう男の独白。

 男のあまりの過剰さや卑屈さに笑ったり、自分に当てはまってて笑ったり。

 とにかく、深くて徹底している。

 おもしろい。じっくり味わいながら読むに耐え得る。


 男は言う。

過剰な意識のみならず、いかなる意識でも、それは病気だってことを、おれは確信している。 (p16)



 しかし、また、男は言う。

いっそ彼女が今、永久に屈辱を抱えたまま、立ち去るほうがマシじゃないだろうか? 屈辱は、何と言っても浄化なのだから。これは、ぴりぴりと突き刺すような最も大きな痛みを伴う意識だ! 俺は明日にでも彼女の魂を汚し、彼女の心を苛(さいな)み、へとへとにさせることになるだろう。しかし、屈辱は、彼女の中で、もはや決して死に絶えることはなく、彼女を待ち受けるどぶ泥がいかに醜悪なものであろうと、屈辱は常に彼女を高め、浄化してくれるはずだ・・・・ (p257)


 そして、男は読者に向かって問う。

安っぽい幸福と高尚な苦悩の、どちらが良いだろうか? さあ、どちらがいいか? (p258)


 男は言う。

もっとよく見てみるがいい! 生き生きとしたものが今やどこに生きているのやら (p260)


PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
[10/20 新免貢]
[05/08 (No Name)]
[09/09 ST25@管理人]
[09/09 (No Name)]
[07/14 ST25@管理人]
[07/04 同意見]
最新トラックバック
リンク
プロフィール
HN:
ST25
ブログ内検索
カウンター
Powered by

Copyright © [ SC School ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート and ブログアクセスアップ
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]