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by ST25
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 猪口孝 『国際政治の見方(ちくま新書、2005年)
 
 
 国際関係論で言うところのリアリズムを軸足にした、地に足の付いた国際政治および日本外交の包括的な概説書。「普通の国」、地域安保体制、日中米関係、二国間/多国間外交、国連などについて、あらゆる事例や可能性を踏まえて検討がなされている。

 靖国参拝による日中・日韓関係の悪化、安易な全面的アメリカ追従、目的の見えない常任理事国入りなど、最近の日本外交およびそれに対する論調は、近視眼的なものばかりで迷走が続いている状態である。そんなときこそ、落ち着いて、より鳥瞰的な立場からより長い時間軸を持って考える必要がある。そんな現在に適しているのが本書だ。

 ただ問題点として、今現在の状況を所与のものとして前提にしすぎている結果、今現在においても将来においても、“理想のない無策で受動的な日本(外交)”ばかりが想定されてしまっている。もちろん、分析が目的だからそれでもいいという主張はあり得るわけだが、完全に分析に徹しているとも言い難いし、何より、この本からおもしろみをなくしてしまっているように思える。
 
 
 
 さて、ところで、日本外交の長期的な方向性についての自分の意見を簡単に述べておきたいと思う。個人的には、今後も中国が少しずつでも民主化していくという条件の下でなら、経済的に非常に重要な巨大市場で、しかも地理的にも日本と非常に近い中国へと日本の軸足を徐々に移していくべきだと考える。つまり、長期的にはアメリカから中国へのシフトを考えるべきだということである。

 中国が世界的に重要な国になることを考えたとき、“勝ち馬”の中国との関係、ないし、そこから得られる利益を犠牲にしてまでもアメリカに付くことのメリットが日本にはないと思うからだ。日本と中国との関係を良好なものにすることができれば、経済以外でも、安全保障の観点からのメリットも大きい。とにかく近隣における軍事的な脅威が軽減される。当の中国はもとより、北朝鮮からの軍事的な攻撃の可能性も低くなる。その帰結としてアメリカ依存からの脱却も可能になる。

 もちろん、日中関係が簡単に上手く進むとは思えないし、中国が民主化路線から逆送する可能性もないではない。また、そもそも、これはあくまで50年、100年という長期を見越しての考えである。しかし、アメリカべったりで、気付いたらアジアで日本が取り残されていて、中国市場からの利益も享受できず、中国がアジアを仕切っているなんてことのないようにしたものだ。

 結局のところ、すぐ近くに“勝ち馬”がいるのにそれに乗らないという選択肢はあり得ないということだ。

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