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山口二郎 『ブレア時代のイギリス』 (岩波新書、2005年)
新書を読む【新書週間】の8冊目。今日が【新書週間】最終日。
発売当初に買って途中まで読んだが、あまりおもしろくなくて読み止めていた本。
最後まで読んだが、やっぱり、あまりおもしろくなかった。
ブレア労働党政権の前史、福祉、民主主義、外交などについて簡単に紹介して評価を加えている。
いかんせん全体的に学生のレポートみたいに表面的な分析で根拠薄弱な内容。あたかも現地の新聞の記事や特集をまとめただけなような感じさえある。
実際、政策を評価する視点も、マクロな統計の数字を持ち出したり、ミクロな一事例を持ち出したりと、恣意的。
数ヵ月間イギリスに滞在したときに見聞したことを随所に入れながら書いているが、ジャーナリスティックな現地報告に徹するのか、学者としての分析に重きを置くのか、著者の中ではっきりと定まらないままに書いている印象を受ける。
ブレア政治について知りたければ、もっと早くに書かれた他の本を読んだ方が良い。この本は2005年に書かれたにしては、ブレアの成果を集中的に検討しているわけではないし、これまでのブレアに対する認識を改めるような内容もあまり見られない。
ブレア首相は、イラク戦争への参加以来イギリス国内での支持を落とし、先日の統一地方選での大敗で退陣要求がさらに強まっている。ついに落日のときを迎えそうである。そんなブレア首相の成功と失敗に関する分析はこれからたくさん出てくるだろう。それらには注意を払いたい。
それにしても、かのブレア首相にも落ちぶれるときが来た。その一方で、小泉首相が依然高い人気を誇っているのには目を引く。しかし、ブレアの場合、政権獲得からすでに9年も経っている。どんなリーダーも“時間”という敵には勝てないのだろう。