by ST25
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寺島実郎 『問いかけとしての戦後日本と日米同盟――脳力のレッスンⅢ』 (岩波書店、2010年)
「 最早、この連載(『世界』誌での連載「脳力のレッスン」)は私にとって毎月の発信などという営みを超えて、体中から溢れる時代への怒りを抑制し、眼を凝らして足元と世界を見つめ直し、理性を取り戻して時代というリングに上っていく大切な基盤となりつつある。 」 (「はじめに」より)
そんな寺島実郎渾身の「脳力のレッスン」を集めたものの3冊目。自らの生い立ちとも絡ませた世代論(小田実、ゴジラ、月光仮面など)、アメリカがつまずき中国が台頭しつつある世界経済、普天間基地移設問題の本質たる今後の日米同盟のあり方、等々、定番の問題から興をそそる身近な事柄まで、幅広く、思考している。
相も変わらず、読んでいると姿勢を正される思いがする。
「 (宮沢喜一元首相が面談で、)「 日本人は思い込むと急に視界が狭くなるからなあ 」と呟やいていた。 長期的な「国益」を国際社会で実現するために実効ある外交施策を冷静に構想することよりも、狭隘な自己主張に熱を入れる傾向は、日本の国際関係において再三繰り返され〔てきた。〕 」(p79)
そんな日本人の一人として自戒し、普天間移設問題の先に日米同盟を、尖閣ビデオ流出事件の先に近代的政治制度を見据え、短絡的な感情に流されない強靭な思考と、確固とした理念と、しなやかな知性を、という気持ちになった。
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