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 カレル・チャペック 『絶対製造工場(飯島周訳/平凡社ライブラリー、2010年)


 あらゆる物質に宿っている「絶対」という「神」を解放してしまう機械が発明された。 その「絶対=神」の空気に触れた人々は、全てを悟ったかのような平穏で神がかり的な境地に至った人物へと変貌してしまう。 そんな「絶対=神」が、世界中に拡がっていく過程と、それが世界中に充満した後に起こったことを描いている、1922年のSF小説。

 もちろん、古くはスピノザ的な汎神論などとも通じるところがあるけれど、何より、様々な宗教が「絶対」を主張して対立している現代においても非常に刺激的な作品。

 ただ、小説としては、やや単純なストーリー展開だったり、似たような話が場面を変えて出てきたり、単純な構成だったりで、それほどおもしろくはない。


 それにしても、「絶対」や「神」という至高のものがあっ気なくトラブルメーカーになる様は、なんとも儚く、やりきれない気持ちを湧き起こさせる。

 

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