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伊藤惇夫 『民主党――野望と野合のメカニズム』 (新潮新書、2008年)
民主党の事務局長も経験した「政治アナリスト」による民主党の歴史や政策・党首の移り変わりなどをまとめた本。
本当に新聞や党の公式資料を「まとめた」だけ。大学生の卒論みたい。
民主党などの事務局長経験を生かした逸話はほんのたまに出てくる程度。
「アナリスト」という肩書きや帯に書いてある「初の本格的な組織研究」という大それた宣伝文句から期待される、「分析」なんてものもほとんど皆無。 (選挙で勝った負けたとか、政策が以前と変わった変わってないとかっていう程度。)
そんなわけで、悪い本ということもないけど、特におもしろみもない本。
伊藤惇夫は、テレビに出てくる政治(政界)評論家たちの中では( 自分の主張と事実とを分けて考えられるという点で、)かなりまともな方だとは思うけど、この本に関しては上に書いたとおり。 (というか、こういう「まとめ」本は、誰かしらが書く必要はあるとは思うけど、あなたが書く必要はなかったんじゃないの、という気がする。)
最後に、政治評論家に政策の話を期待するのはどだい無理なことだとはわかっているけど、一つだけ。民主党の憲法改正に関する公約について。
著者は、
「 憲法の姿を決定する権限を最終的に有しているのは、政党でも議会でもなく、国民です 」
「 国民の多くの皆さんが改正を求め、しかも国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます 」(p212)
という、民主党の公約について、
「 政権交代の是非を問う総選挙のマニフェストだからこそ、具体的な民主党案を提示すべきではなかったのか。 」(p212)
と言ってるけど、憲法は国民が政治家や行政機関に与えるもの( つまりは、改正「点」について国民の間でコンセンサスができて初めて政党が議題にあげるもの )で、なおかつ、憲法改正には衆参両院での3分の2以上の賛成と国民投票での過半数の賛成が必要なんだから、これはどう考えたって、民主党の意見の方が正しい。