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横江公美著『第五の権力 アメリカのシンクタンク』(文春新書、2004年)を読んだ。この本は、アメリカ政治の政策や人材に大きな影響を与えているシンクタンクの活動、仕組み、ビジネス、歴史、さらには、6大有力シンクタンクの紹介が書かれている。日本には、アメリカの定義(非営利でなければならない等)でいうところのシンクタンクはほとんど存在しておらず、ましてや実際の政治に影響を与えることは皆無といっていい。したがって、日本政治を見ているだけでは想像できないアメリカ政治の一側面を知ることができる。
この本を読んでまず感心するのは、日本政治の泥臭いイメージとは対照的なアメリカ政治の有する知的雰囲気である。日本で、「政治家」や「評論家」や「大学教授」がテレビや新聞や論壇雑誌で行う、感情の吐露や、論理というルールさえもない発話など、議論や分析とも呼べないようなものばかりを見せられている者からすると羨ましく感じざるを得ない。しかしながら、それにもかかわらず、アメリカで対イラク政策のように問題の多い政策が出てくるのは、これまたアメリカに特徴的なロビイストや利益団体の影響が大いに関係あるだろう。また、このエリートたちの閉鎖的なコミュニティのために、逆に、弱者に厳しい政策が出てくることにもなるのだろう。さらに、現在のアメリカでは保守系のシンクタンクが強いのも、このことと関係がありそうだ。(この流れに抗してリベラルなシンクタンクを強化しようとしているのはヘッジファンドで悪名高いジョージ・ソロスである!)
さて次に、「アメリカでは生涯同じ職業のままではない」という日本で知れ渡っている俗説は、この知的コミュニティにおいては現実のようだ。例えば、大学教授→シンクタンク研究員・理事→政権ポスト→大企業役員のように。したがってここでは、個人のスキルが重要になるため、「ワシントンで石を投げればダブル博士(二つの博士号をもつ人)にあたる」というようになるのだろう。さすがに、エリートと呼ばれるような人においてさえ能力主義が採用されていない日本の方が異常だ。
最後に、この本で気になったのが、カバーに掲載されている著者の顔写真である。少なくともこの種の本の著者としては綺麗な顔立ちである。しかし、著者は39歳。どう見ても写真は20代(せいぜい30代前半)にしか見えない。さすがにこれは公序良俗に反するものだ。しかし、これもアメリカ政治の広告戦略に精通する著者の戦略なのだろうか・・・