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 斎藤槙 『社会起業家』 (岩波新書、2004年)

 前回の記事から1週間以上も開いてしまいました。最近、忙しくてあまり本を読んでいないためというのもありますが、読んだ本の内容のためというのもあります。というのも、自分の中では、感想文を書くからには「おもしろい」・「おもしろくない」という2つの基準にあてはめたときに、どんなにわずかであっても「おもしろい」の方に分類される本を取り上げようと決めているのです。その基準に満たないような本にここのところ何冊か当たってしまったからネタ切れだったのです。(読書感想文以外を書けばいいという指摘はスルー。)さて、言い訳はこのぐらいにして本書ですが、本書はかろうじて「おもしろい」に分類できます。

 この本は、営利だけを追求するのでもなく、かと言ってボランティアでもない、社会をよくするという観点に重きを置いてビジネスを行う人たちである社会起業家についていくつもの実例を挙げながら、その新しい潮流を紹介しています。その要点は、章題にもなっている「NPOのような企業、企業のようなNPO」、あるいは「ビジネスの社会化、NPOのビジネス化」に端的に表現されています。思えば、豊かで安定した社会を永続させようと思えば企業の社会責任は当然要求されることになるし、強くて活気ある市民社会を創出しようと思えばNPOなどのビジネス化は必要不可欠となります。このことから考えると、企業が引き起こす公害問題が認識さえされていなかった時代や、市民の公共的な活動というとボランティアがイメージされていた時代を経て、ようやく、政府・市場・市民社会という“3つ”の領域を基本の枠組みとした社会へと向かって、時代が動き出したことを表しているように思えます。

 ところで、「ようやく、~動き出した」という表現からも分かるとおり、私としては上で述べたような方向性については既に必要性や現実を認識していたので、その分、本書のおもしろさや新しさはいまいちだったのです。

 さて、そんな中でも、明日使える豆知識としておもしろいと思ったものを一つ紹介しましょう。一部の政治的な人から「帝国・アメリカ資本の手先」や、「豆の生産で途上国から搾取している」とも思われがちな、「スター・バックス」。しかし、スタバはNPOとパートナーシップを結ぶなどして、コーヒー・紅茶生産国で行われるケア活動を支援したり、環境や生産農家に配慮したコーヒー栽培を実践したり、フェア・トレードを推進したりと、極めて先進的な試みを実行しているのです。この効果は、自社のイメージや製品の質を高めるだけでなく、提携したNPOの強化にもなっています。同社のこれらの試みを進めているのはハワード・シュルツCEO自身で、彼の言葉がまた強力なソフト・パワーを持っています。
「日雇い労働者の父を持った私の家族はお金にとても苦労しました。安定した仕事を持つことがどれほど重要か子どものときに理解しました」
 愛国者である前に、地球に住む一人の人間である私は、明日、乱立する国賊企業を尻目に、スタバに入ろうと思います。

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