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 福田俊之 『最強トヨタの自己変革――新型車「マークX」プロジェクト』 (角川oneテーマ21、2004年)

 本書は、先日、先代モデル(マークⅡ)から車名まで変更されて発売されたトヨタの「マークX」を中心に書かれているが、副題から期待されるものとは遠いと言わざるを得ない浅薄な内容だ。その証拠に本書は新書としても異例の短さの、わずか159頁しかない。また、本書の構成も、7割がたが日本の自動車産業の歴史やマークⅡの歴史に割かれている。残りで「マークX」プロジェクトについて書かれてはいるが、「マークX」の開発プロジェクトの全貌や内幕も一部しか明らかにはならない。開発プロセスに関しては、所々で当事者の発言や開発の経緯等が出てくるだけで物足りなさを感じる。いかにも、「優等生的にルールを厳格に守って、できる範囲で取材しました」という感じの、“フリー・ジャーナリストによるルポ”というより、“官庁や企業の広報によるパンフレット”といった内容だ。これなら、新車が出る度に発行される「~のすべて」(今回なら「マークXのすべて」)という雑誌の方がより詳細に書かれているだろう。

 そんな訳で、本書自体について書くことはあまりない。そこで、マークXも分類される「セダン」という類型について書いていく。

 最近では車の売れ筋の主流は1BOXである。しかし、本書で何度も強調されているように、走りのおもしろさや操作性や快適性など、乗用車のポテンシャルを引き出せるのはセダンである。特に我が日本のトヨタは、このセダンで強さを発揮してきた。セルシオ・クラウン・マークⅡ(現マークX)の3台はまさにその代表である。確かに、車を使う環境の違いもあって、ベンツやBMWといった欧州車に比べて力負けするところはある。しかし、300万円台(クラスによっては200万円台!)でこのレベルの車(クラウン・マークX。セルシオは5~600万円台)が買えるのは奇跡だと個人的には思っている。実際、「マークX」も製作過程でライバルに据えて常々比較していたのはベンツのEクラス(600~900万円)とBMWの5シリーズ(570~900万円)だ。

 さて、ここでトヨタのライバル・メーカーである日産に目を向けると、近年の日産のセダンでの弱さは、会社全体の復調にもかかわらず相変わらずである。また、スカイラインの再浮上にもかかわらずである。それは、クラウンとマークⅡのライバルであった、セドリック/グロリアとローレルの低調に依るものだろう。思えば、私が車を好きになった頃はまだバブルの気配が十分に漂う明るい時期(1990~91年くらい)であり、当然高級セダンは乗用車の中心的存在だった。そして、セドリック/グロリアとローレルは共に日本のナンバー2・メーカーを支える人気車種であった。当時のデザインは今でも通用するくらいかっこいいと個人的には思っている。それが、モデルチェンジによってかっこ悪くなると、時期を同じくして会社も低落していったのだ。

 そこで、日産の完全復調の試金石はセドリック/グロリアとローレルではないかと考えていた。そして、最近、2つの新車が発表された。価格帯などからいってセドリック/グロリアとローレルに代わるものであるのは間違いない。フーガとティアナ(リンク先に音声あり)だ。個人的には、日産のこの種の、しまりのないデザインは好きにはなれない。セドリック/グロリアとローレルが落ちぶれたのも、同じようにしまりやキレのない丸みを帯びたデザインにしてからだった。エクステリア(外観)・デザインは車の売り上げのほとんどを決めるくらい重要な要素だ。上向き基調の景気とともに、セダンが再び乗用車の中心になると、日産は厳しいのではないだろうか。どうなる、日産。

 別に日産を応援しているわけではないから構わないのだが・・・。

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