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 清水義範 『早わかり世界の文学――パスティーシュ読書術 (ちくま新書、2008年)
 
 
 タイトルから想像されるような教科書的に世界の文学を解説している本ではなく、小説・文学のおもしろさをエッセー風に綴っている本。(実際、若者向けの講演3本とその補論から成っている。)

 語られるのは、模倣(パスティーシュ)、人間理解力や論理的思考力の涵養、作文・創作の方法、世界十大小説、ユーモア、といった視点から。

 これらの視点自体も正しいものではあるけど、何より、そうして語られる小説や有名文学作品が(全てではないにしろ)魅力的でおもしろそうに思えるところが素晴らしい。(例えば、『坊ちゃん』が次男かどうかなんて小説の本筋とは関係なく、どうでもいい。)

 中でも、「私が決める世界十大小説」は一作品一作品の紹介は短いながらその魅力が見事に伝わってきて、どれも(多くは初めて、いくつかは改めて)読んでみたくなった。

 それから、著者自身が書いた本も読んでみたくなった。(追記@3.23:思ったほどおもしろくなかった。)
 
 
 前回取り上げた『シェイクスピアのたくらみ』(岩波新書)も、同じ文学作品の読解本であって、しかも視点の正しさという点も同じだった。だけど、作品のおもしろさが伝わってくるか否かという点ではすごく対照的だった。

 視点が正しいだけではダメでその対象のおもしろさを如何に伝えるかが重要だなぁ、なんてことを本の感想を書き散らしている者としては改めて考えさせられた。(言うは易し行うは難し。)

 そして、学校教育の作者名と作品名(とせいぜい粗筋)を覚えさせるだけの文学史なんてまーったく意味ないなぁと思った。例えば、1918年に米騒動があったことを覚えておくと色々と思考と想像が広がるけど、トーマス・マンという人が『魔の山』という小説を書いたというのを覚えていても思考と想像は広がらない。

 それにしても、自分にとって読書とは学校で学んだことを否定する営みなんじゃないかと、けっこうマジメに思ったり・・・

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