by ST25
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御厨貴 『ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論』 (PHP新書、2006年)
小泉純一郎好きな政治学者が政治学者という身分を離れて感性の赴くままにざっくばらんに日本の政治について語っている本、といった趣きで、あまりおもしろくない。
著者が、あたかも「政治学者ならではの洞察!」、「新しい見方!」、「大発見!」であるかのように語っている内容は、新聞かテレビでニュースを見ている一般的な社会人なら誰でも知っているようなことである。
例えて言えば、「みんな、空や太陽が動いていると思っているけど、本当は地球が動いているのですよ!」と21世紀に喧伝しているような感じだ。
一般の国民をバカにしているのだろうか? 一般の国民とは別の世界に住んでいるから一般の国民のことが分からないのだろうか?(実際、「あとがき」によると財界、官界、マスコミ界、学界、政界との付き合いだけは盛んなようだ。)
さらに、序章で、小泉首相になって「三つのタブーがなくなった」と言って、何を挙げるかと思えば、「憲法、天皇、靖国」の三つなのである。
「憲法」は、現実的な動きが活発化したという意味で、まあ分かるにしても、「天皇」は戦後間もなく、責任論や存廃などが論じられていたし、最近女帝論が論じられ始めたのも現実的な必要に迫られたからに過ぎない。「靖国」も中曽根首相が散々問題提起している。
小泉賛美をするばかりに盲目的になっているのではないだろうか?
本当に、あらゆる点でセンスを疑いたくなる。
そして、こんな本を買ってしまった自分のセンスも疑う。
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