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安倍晋三『美しい国へ』 (文春新書、2006年)
次期首相最有力候補による総裁選勝利のための着実な一手。
全てではないにしろ、基本的には賛同できる内容。
・・・って、それでいいのか!?
という気が、リベラルな自分にはするのだが。
では、なぜこんなことになるのか?
一つには、抽象的な話に(特に議論が噴出しそうな問題に関して)終始しているから。
二つには、敵として想定しているのが国民の数パーセントが支持しているに過ぎない社会党・共産党だから。
そりゃ、(ロールズ&ハーバーマス&センに好意を寄せているという意味での)リベラルな自分も賛同できるわけだ。
この安倍晋三の戦略は、政治学の投票行動研究の言葉で言うところの「中位投票者」の支持を目指した合理的な行動ということになるのだろう。
けれど、果たして、国民は安倍晋三にバランス感覚なんて求めているのだろうか?
逆に、臆病さとか、器の小ささをアピールすることになり兼ねないような気さえするのだが。
政治家に論理的思考力を(本当は期待したいんだけど)期待してもしょうがないから、論理的な破綻を批判するのは控えようと思っていたけれど、一つどうしても指摘しておきたいことがある。
「 国が紡いできた歴史や伝統、また文化に誇りをもちたいと思うのは、だれがなんといおうと、本来、ごく自然の感情なのである 」(p91)
ならば、政治があれこれ口を出す必要はないんじゃないの?
同じことは、「いい家族」に関しても言える。
それにしても、この本を読んだだけでは具体的に何をするかは皆目分からないけど、安倍首相がやりたいことは、どうやら日本人の“価値観”を改革することらしい。教育とか家族とかだけでなく経済でも。熱意を持って仕事をすれば経済は成長するって言ってるし。(p31)
「“価値観改革”なくして成長なし!」
・・・・って、そんなバカなっ。