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仲正昌樹 『ネット時代の反論術』 (文春新書、2006年)
「 偉い人は、こちらがいくら真面目に批判しても、金持ち喧嘩せずという調子で無視するし、うさばらしで誰でもいいからと見境なしに喧嘩をふっかけてくる2ちゃんねらーのようなバカ者たちは、こちらがいかに論理的に話をしても理解せず、馬耳東風で聞き流してしまうということが実感として分かってきた。 」(p216)
という著者が、
「 バカに対して反論するなんて、基本的に同じレベルのバカのやることだから、やめといた方がいいですよ 」(p214)
というメッセージをこめた本。
著者が認めているのは、冷静な学問上の議論と、ルールの決められたディベートくらい。
この本では、いわば「議論社会学」とでもいうような分析と、それに基づく「議論戦略」が冷淡に語られている。
「相手にまともに答えない」とか、「自分の評判を気にしないで相手だけを叩く」とか、“勝つ”ための技術が色々出てくる。
著者が語っているメッセージにしても技術にしても、今までの経験からある程度は分かっているつもりではあるのだが、最大の問題は、「では、どのようにして感情的になるのを抑えるのか?」ということなのだ。
プライドも正義感も全てを捨ててしまえば、何を言われてもクールでいられるだろう。
けど、それでは、そもそも何かを主張すること自体に意味を見出せないし、娯楽小説以外の本は読む気にもならないだろうし、何より人生がつまらなそうだ。
かといって、プライドとか正義感とかを持ち続けると、感情的になり・・・、ということになるのだ。
明らかな誤解とか「脊髄反射」とか単純なレッテル貼りの受容とかも大抵は感情的になってる人に多いわけだし、そもそも感情的になってるとこの本で挙げられている技術も使えないわけだし。
そんなわけで、この本は「逃げたくない」と思ってしまう人間にとっては、力を与えてくれるものではない。
まあ、ただ、「(特に匿名なネット上には)バカが多い」という現実を認識するだけでも冷静になるのには役に立つとは思うけど。
〈前のブログでのコメント〉
- 議論か…僕のキャッチフレーズは「対話が圧力」ってのはどうでしょー!(悲)
- commented by やっさん
- posted at 2006/10/26 17:59
これは、うまい! 「対話と圧力」、「圧力と対話」より強硬だw- commented by Stud.@Webmaster
- posted at 2006/10/26 19:17