by ST25
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浅羽通明 『右翼と左翼』 (幻冬社新書、2006年)
「右翼/左翼とは一体何なのか?」について、前半ではフランス革命や共産主義の歴史などを見ることでその概念史を追っている。そして、後半では日本での「右翼/左翼」の概念史について、戦前、戦後、現代の3つに時代を分けて追っている。
著者の見るところ、「右翼/左翼」という言葉は、それぞれの意味するところにある程度の共通点があるとは言え、時と場所によって使われ方はけっこう異なっている。そして、冷戦が終わってからは、「右翼/左翼」という言葉は真剣で体系的な思想を表す言葉ではなくなり、いわば「歴史は終焉した」としている。
その時々によって意味するものが異なる「右翼/左翼」の歴史を追うということは、その時々の「思想の布置」を追うことに他ならない。
その点、右-左という一次元の軸から近代史を整理しているこの本は、歴史の理解には役立つ。
けれど、結局、時と場所によって使われ方が違うのであれば、「共通性・一貫性はなさそう」ということの認識以上に何か大きな意味があるのか、個人的には微妙だと思う。
もちろん、歴史の一時点を勝手に切り取って「本来、左翼は~」とか、「真の右翼は~」みたいに無理に一般化した言説を抑止するのには役立つけど。
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