by ST25
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福田ますみ 『でっちあげ』 (新潮文庫、2010年)
事実を書いているノンフィクションのドキュメントだけれど、事の進みの恐ろしさ、理不尽さに、ミステリーやホラーを読んでいるかのような気持ちになった。
周辺への聞き込みさえせず報道したマスコミ。事を荒立てずに済ませようと生徒・保護者の言い分を受け入れてしまう学校(校長、教頭)・教育委員会。あることないこと言ってくる保護者。適当な診断書を書く医師。本来、社会的に信頼されているような人たちばかりが登場するにもかかわらず、事態は最悪な方向へと進んだまま修正されることがなかった。
今回攻撃対象にされた教師と同じ事態は誰にでも起こりうる。急に街中で因縁をつけられて、というように。渡る世間に鬼はないなんてことはなさそうだ。そんな世の中の現実をふまえた仕組みであってほしいものだ。マスコミ、法曹はそういったことを本来防ぐための存在でもあるはずだ。それが機能しないとなると、いよいよ生きるっていうのは実に恐ろしいことだ。君子危うきに近寄らずが最善の策になりそうだ。
この事件を取り上げて、綿密に調べ上げたジャーナリストがいたのはせめてもの救いかもしれない。
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